人生の凪の時

最近の私

最近、語学の資格試験を受けたり、ジムに通って水泳やマシントレーニングをしたり、会社では研究会に参加したり、また、断ることができる研修講師の依頼に対応したりと、活発に活動している。

人生の来し方行く末を考えてみると、数年前の自分はこんなに活発に活動するのは難しかったし、また、これからずっと同じように活動し続けるのも難しいと思う。

人生の来し方

社会人になって、20歳代後半から30歳代前半までは、無我夢中でハードワークしていた。もちろん、ハードワークをすればストレスも大きいけれど、基本的には楽しんで仕事をしていた。

30歳代後半になり、自分の仕事について疑問を感じるようになり、徐々に悩みが深くなっていった。

40歳代の前半は、それまでのハードワークや健康を顧みないライフスタイルが祟って、心身ともにトラブルが続き、当然、仕事もうまく行かなくなった。

40歳代の後半は、考え方やライフスタイル、仕事の進め方を大きく変えて、心身を建て直す時期だった。

そして、現在はようやく心身のコンディションもよく、健康に気をつけながら暮らすライフスタイルが定着してきた。

人生の行く末

将来を考えると、両親の介護の時期が目の前に迫っている。その時期が終わる頃には、自分自身の職業生活の締めくくりとなり、さらにその先には自分の老いに本格的に向き合うことになるのだろう。

人生の凪の時

そう考えると、今はとても貴重な人生の凪の時なんだなと思う。

おそらく、これだけ勉強したりトレーニングしたりできる時期はないだろう。その時間が取れなくなり、その先には老いが待っている。

今、知力、体力ともに鍛えているのは、将来に向けて貯金をするような気分だ。これから人生に立ち向かうための元手を貯めるために、いまできることはしておこうと考えている。

 

TOEICの振り返り

TOEICの振り返り

5月に受験したTOEICの結果が返ってきた。前回の受験は2012年10月だったが、その結果と比較してみる。その当時とは多少出題形式が変化しているが、大きな影響はなかったように思う。
全体としては、わずかに今回の方が点数が良かった。リスニングは下がったが、リーディングが向上した分でカバーした形である。自分自身の実感としては、前回に比べリスニング力そのものが低下したとは思えない。前回のリスニングの結果ができすぎだったのではないだろうか。一方、リーディングについては、前回以降、学習したパートの成績が向上した。
詳細な項目を見てみる。今回のリスニングの結果を見ると、要点や文脈はおおむね理解しており、そのポイントは前回とあまり差がない。一方、詳細の理解の点数は相対的に低く、前回との差も大きい。最近、Podcastで英語の番組をよく聴いていて、大意は理解できていると思うが、特に会話の詳細が理解できないときも多い。だから、今回のテストのこの結果には納得できる。逆に、前回、詳細の理解の点が高かったのは不可解ではある。
リーディングにいては、推測や複数の文書間の情報の関連付けなどは前回も今回も成績がよい。これは、英語に限らず、一般的な文章読解力があるということを反映していると思う。今回、語彙と文法の成績が向上した。これは、前回以降補強してきた部分だから、その効果があったのだろう。

項目 2012/10/21受験 2017/05/21受験
Total 915 920
Listenning 465 440
短い会話などの要点文脈の理解 84(73) 81(65)
長い会話などの要点文脈の理解 88(73) 95(69)
短い会話などの詳細の理解 95(78) 73(73)
長めの会話などの詳細の理解 98(61) 87(59)
暗示されている意味の理解 -(-) 79(57)
Reading 450 480
文書中の情報による推測 94(59) 96(52)
文書中の具体的な情報の理解 94(61) 94(62)
複数の文書間の情報の関連付け 100(54) 100(46)
語彙の理解 87(57) 96(62)
文法の理解 92(63) 95(70)

註)要素別の数値のうち、カッコ内は平均値

英語学習の状況とTOEICの点数の関係

前回TOEICを受験した時期は、かなり熱心に英語でブログを書いていた時期だった。
yagian.blogspot.jp
このブログにアップロードする前に、まずLang-8という語学学習SNSにアップする。Lang-8は、異なった母語を持つ語学学習者が作文を相互にレビューするSNSである。例えば、私は英語母語話者や中国語母語話者が書く日本語の作文をレビューして、必要に応じて訂正し、コメントをつける。一方、英語母語話者や中国語母語話者は私の英語や中国語の作文をレビューしてくれる。
lang-8.com
この英語学習方法はかなり効果的だったと思う。2011年から2012年の時期は、英語のインプットとアウトプットの量が生涯で最も多い時期だった。英語のブログの年次別のエントリー数を以下に示した。

エントリー数
2017 1
2016 1
2015 1
2014 10
2013 68
2012 84
2011 168
2010 5

この英語に触れた量に支えられて前回の高得点が実現したと考えている。詳しくは以下のエントリーにまとめてある。
yagian.hatenablog.com
しかし、最近では、この英語ブログはほぼ開店休業状態にある。中国語をはじめたり、フィジカルを鍛えたりすることに時間を使うようになって、英語学習に割く時間はずいぶん減っている。
英語のPodcastは、通勤などの移動時間に聴けるということもあって、継続して聴いている。英語の本は、年間3~4冊ぐらいのペースで読んでいる。あと、インターネットでMLBやその他のニュースを英語で読む機会は作るようにしている。英語学習らしい学習としては、松澤善好「英語耳」というテキストで、英語の発音の矯正とヒアリング力を向上させるトレーニングを独習でしたり、アルクが出版している「究極の英単語」シリーズでボキャブラリーを増やすトレーニングはしている。

英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる

英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる

究極の英単語 Standard Vocabulary List [上級の3000語] Vol.3

究極の英単語 Standard Vocabulary List [上級の3000語] Vol.3

また、TOEIC受験の直前二週間に、サラリーマン特急シリーズで、通勤時間を中心として詰め込み準備をした。
1駅1題  新TOEIC TEST文法特急

1駅1題 新TOEIC TEST文法特急

TOEIC TEST サラリーマン特急 新形式リスニング

TOEIC TEST サラリーマン特急 新形式リスニング

1駅1題  新TOEIC TEST文法特急

1駅1題 新TOEIC TEST文法特急

ライティング関しては、中国語のブログを週に一回書いていて、そこに英訳もつけている。しかし、かつて書いていた英語のブログに比べれば質量ともに限定されてものだ。
前回の受験の時期と比較して、英語のインプット、アウトプットの量は減っているだろう。iPodで補っていると考えていたが、リスニングの点数の低下はインプット量の減少が影響していたのではないだろうか。
リーディングのうち、語彙と文法の得点が向上したのは、学習の成果があがったのだと思う。この点は、学習の成果があったことをすなおに喜びたい。

今後の英語学習の方針

リスニング

iPodを聴いていても、大意は理解できても、細部、特に会話を理解できていないところがある。今後リスニング力を向上させるためには、このまま漠然とリスニングをするだけでは効果が薄いだろう。リスニングしたあとに、スクリプトで細部を確認をして、正確に理解する練習する必要があるのだろう。また、TOEICの問題集を解いてみるのも効果がありそうだ。

リーディング

TOEICのリーディングのスコアをこれ以上上げるのは難しいと思うが、自分の現在のリーディングの実力に満足はできない。日本語と比較するとリーディングのスピードは1/3ぐらいだし、意味がわからない単語もまだまだ多い。まずは、語彙を地道に増やしていく必要はあるのだと思う。そして、英語の本を読む量ももう少し増やしたいが、なかなか時間がとれないのが実情である。

ライティング

これは、経験からは日常的にアウトプットすること、しかも、ある程度まとまった分量の英文を書くことが効果的だということは、経験からわかっている。とはいえ、現状を考えると、中国語のブログの英訳ぐらいが限界とも思う。

スピーキング

スピーキングは、四技能のうちでいちばん不得意でもあるし、現状では学習量もほとんどない。中国語でスカイプを使ったレッスンをしており、効果も感じているから、英語で試してみてもよいかなと思ったりもしている。また、TOEIC SWテストを受験することをきっかけにして練習することもありうる、とも思う。

知力の測定

英語の語学力自体は継続的に学習を進めれば少しずつでも向上の余地はある。しかし、TOEICのテストそれ自体は、問題量が多く試験時間中高い集中力を維持しなければならず、年齢を取るにつれて点数を維持することが難しくなるように思う。実際、テストが終わった後、知力を使い果たしてヘトヘトになった。だから、定期的に受験することで、自分の知力の衰えを測定することができるのではないだろうか。定期的に運動をしていれば、加齢による体力の衰えは実感できるけれど、知力についてはなかなか自覚できない。そういう意味で、知力の測定手段に活用できそうだ。

夏目漱石「門」を読む:私の暗い時代と「文学」の癒やし

「文学」が足りない

最近、社会科学系の本だったり、会社での研修講師の準備のための実用書だったり、さもなければ語学学習のためのテキストだったり、そんな本ばかり(村上春樹騎士団長殺し」は例外だけど)を読んでいて、なんだか「文学」が足りないなぁと思い、夏目漱石「門」を手に取った。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 
門 (岩波文庫)

門 (岩波文庫)

 

 漱石の現代性

 夏目漱石の小説を読んでいると、特に「それから」以降の作品では、漱石が昔の人だという感じがしない。自分と同時代の人について描いている、という印象がしてしまう。

特に、遺作の「明暗」の津田とお延のカップルなどは、現代だったらこんな夫婦はザラにいそうだなと思う。一方、漱石の同時代の読者は、このカップルに対してどこまで共感できたのだろうかと不思議な感じがする。夫婦の普遍的なあり様を描いているからこそ現代の私も共感できるような気もするが、しかし、漱石の同時代の小説を読んでも津田とお延のようなカップルはでてこないから、漱石は現代を見通してこのような夫婦を書いたのかなとも思う。

漱石は当時の最先端のインテリだったから、周囲の人の理解を得られない悩み、大きく言えば西洋と東洋の相克による苦しみ(「それから」の代助が「もつと、大袈裟に云ふと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ。」と言っているように)、を抱えていた。彼の時代から100年経って、ようやく私のような人間も漱石と似たような悩みを抱くような時代になった。だから、今、漱石の小説を読むと、なんだか昔の人という感じがしないのかもしれない。

「門」は、サラリーマン(作中の言葉で言えば「腰弁」)の生活を描いている。永遠に続くようにも思えるサラリーマン生活の閉塞感が実にうまく表現されていて、とてもひとごととは思えない。漱石の時代、まだまだ「サラリーマン=腰弁」は社会のなかで少数派で、おそらくは恵まれた階層だったのではないかと思うが、現代は宗助のような人物がごくふつうになった。

明暗 (岩波文庫)

明暗 (岩波文庫)

 

私の暗い時代と「文学」の癒やし

世間的には漱石は「文豪」ということになっているけれど、私は彼をもっと親しい存在だと勝手に思っている。彼の小説を読むと、自分のことが描かれているような気がするのである。「門」は、彼の小説のなかではあまり名作と言われることがないけれど、私にとってはとても愛着がある小説だ。「腰弁」の閉塞感に共感できることもあるし、小説の舞台がいま自分が住んでいる地域である、という理由もある。

そんなわけで、久しぶりに「門」を手にとって読み始めた。すると、ずいぶん暗い小説だな、宗助の閉塞感もただごとではないなと思った。考えてみれば、私が「門」を好んで読んでいたのは、私自身が閉塞し暗い時代だった。そんな時代に、暗くて閉塞している「門」を読んで共感をして、ある種の癒やしを得ていたのだと思う。

最近あまり「文学」を摂取していないのは、「文学」からの癒やしを必要としていないからなんだろうと思う。冬から春になり、閉塞したトンネルから抜けた。しかし、また冬はやってくる。そんなとき、また、「門」からの癒やしが必要になるのだろうと思う。

Podcastの楽しみ

ESL Podcastが有料化されてしまったので

ヒアリングの練習を兼ねて、通勤の時間を使って英語学習者向けの"English As A Second Langage (ESL) Podcast"を聴いていた。特に、毎週"English Cafe"というアメリカの文化紹介の番組があり、ボキャブラリー制限がありつつも非常に興味深い内容で、もはや英語の練習を超えて聴きたいから聴いている、という状態になっていた。

player.fm

しかし、ESL Podcastが有料化されてしまい、お金を払ってまで聴くかなぁ、この際、学習者向けではないPodcastを聴いてみようかと思ってあれこれ探しはじめた。すると、興味深いPodcastがたくさんあるではないか!と、けっこう感動している。

映像を作る必要がないから低予算で製作できるのかもしれないけれど、よく企画が練られ、しっかりとした取材に基づき、聴き応えのあるPodcastが多い。もちろん、ネイティブ向けだから、すべてを聴き取れる訳ではないけれど、それでも十分おもしろいし、これを聴き取れるようになりたい、という気持ちが英語の学習のモティベーションにもつながっている。

私自身は聴き流しているので活用していないけれど、多くのPodcastではウェブサイトでスクリプトが提供されているので、有用だと思う。インタビュー番組だと、いろいろな英語を聴けるのもよい。キャスター、インタビューアーの英語は聴きやすいけれど、インタビュイーの英語は、なかにはほどんど聴き取れない人もいる。それはそれで練習になる。

それでは、定期的に聴いているPodcastを分野に分けて紹介していきたい。

経済学系

Freakonomics(スクリプトあり)

最初にはまったPodcastは"Freakonomics"である。これは「ヤバイ経済学」シリーズの著者の一人、スティーブン・J・ダブナーがホストをしている。たまに共著者の経済学者、スティーブン・D・レヴィットもゲスト出演することがある。

コンセプトは書籍版「ヤバイ経済学」シリーズと同様で、身近な事象を科学的に検証してみる、という内容。書籍版は、基本的にはレヴィットの研究成果が用いられているが、Podcast版はもう少し広く経済学に限らない研究成果を取材している。

比較的最近のPodcastのタイトルは"Are the Rich Really Less Generous Than the Poor?"で、金持ちになるほど世知辛くなるのか、というテーマについて心理学や経済学の研究成果に基いて迫っている。もちろん、「ヤバイ経済学」シリーズのユーモアは失われていない。

freakonomics.com

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

 

 Planet Money(スクリプトあり)

 National Public Radio (NPR)は、短い時間にまとめたPodcastのニュースも提供していて、これもヒアリングの練習によいけれど、そのほか聴き応えのあるPodcastの番組をいろいろ放送している。

このPlanet Moneyは、"Freakonomics"と比べるとアカデミック色は薄く、ドキュメンタリーより。経済系といっても、いわゆる大企業の経営、のようなものを扱っているのではなく、もっと低い視線から現場の興味深いネタを拾ってくる。

しばらく前の放送だけど、高額紙幣が廃止されたインドについて、その政策のバックボーンになった思想を提唱している人へのインタビューと、インドの庶民にとってのこの政策の現状についてリポートした"When India's Cash Disappeared"が、ほかでは知ることができないレポートをしてくれていて、おもしろかった。

www.npr.org

 インタビュー系

This American Life(スクリプトあり)

 Podcastだと、いちおう目安の時間はあるけれど、ラジオやテレビの番組のようにきちんとした時間制約がないこともあって、長時間のインタビューを扱った番組がある。そのなかでも、有名人ではなく市井の人を対象としたインタビューを扱ったものも多く、この"This American Life"はそのなかの老舗らしい。

アメリカのジャーナリズムには、スタッズ・ターケルに代表されるように市井の人を対象にした厚みのあるインタビューの伝統がある。日本では、正直に言って一般人へのインタビューで興味深い本はあまりおもいつかない(村上春樹アンダーグラウンド」ぐらいか)が、アメリカの一般人の話は、内容も語り口もおもしろく、それがアメリカのインタビューの伝統に結びついていることがよくわかる。

www.thisamericanlife.org

アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

 

Death, Sex & Money  

これも一般人へのインタビューを扱ったPodcast。より「生活(=死、セックス、金)」の側面について深めている。有名人も出演することがあるけれど、それらも「有名人」としてではなく、ひとりの生活者としての顔についてインタビューしている。

 最近では"Two Wheelchairs and A Baby"という回が印象的だった。障害があり車椅子で生活しているカップルの子育てについての話。まさに、彼らの「生活(=死、セックス、金)」についてのインタビュー。

"The American Life"や"Death, Sex & Money"を聴いていると、アメリカっていろんな人がいて、一概にまとめることはできない、としみじみ思う。

www.wnyc.org

起業系

How I Built This

まだバイオグラフィは出版されていないけれど、どうやって起業したのは聴いてみたい、という起業家へのロングインタビュー。もし、起業や新規事業に関心があるなら必聴のPodcastだと思う。

Air BnB、Zappos、Instagramみたいな今風の起業家もいるし、リチャード・ブランソンのようなすでに功成り名を遂げた起業家もいるし、私は聞いたことがないアメリカのハンバーガーチェーンの起業家もいるし、バラエティに富んでいる。

インタビュアーが、毎回、「成功したのは、運ですか、努力ですか」と質問する。ほとんどの人が、「努力はしていた、でも、タイミングについては運だった」と答えるのが印象的。

www.npr.org

 Masters of Scale

これはLinkedinの創業者のレイド・ホフマンがホストをしているPodcast

"How I Built This"はあまり解釈をせず、創業者自身に語らせているけれど、こちらは起業家が会社規模を大きくする時に直面する問題を解決するための方法を、レイド・ホフマンが実例に基いて提示するというスタイルになっている。個人的な好みとしては "How I Built This"の方が気に入っているけれど、実際に起業をしている人にとってはこっちの方が実践的かもしれない。

この番組に登場する起業家たちも華麗である。

www.entrepreneur.com

 情報系

Global News Podcast BBC World Service

NHK BSのワールドニュースで世界の放送局のニュースを見ていると、客観性や取材の充実度などを考えるとBBCが突出して質が高いなぁと思う。

ワールドニュース - NHK

この"Global News Podcast"では、BBCの国際ニュースをまとめてくれており、世界の状況をザクッと理解するために便利である。

www.bbc.co.uk

スポーツ系

New York Yankees Podcasts

ここ20年来ヤンキース・ファンをやっているが、シーズン中はこのPodcastでジラルディ監督の試合後のインタビューをチェックしている。今年のヤンキースは絶好調だから、毎日楽しみである。

New York Yankees Podcasts | New York Yankees

 

旅と移動速度:徒歩、ジョグ、自転車、バス、自動車、鉄道、飛行機

ふらっと旅ランあの街へ

ザッピングしているとき、ふとNHK BSで見た「ふらっと旅ラン あの街へ」という番組が思いのほかおもしろかった。

www4.nhk.or.jp

最近いろいろな街歩き番組があるけれど、これは身近な街をジョギングしながら巡るという企画である。1回概ね10kmぐらいを目安としているようだ。

このエントリーに書いたように、最近、旅先でジョギングするようになっていたので、この番組が提示しようとしていることはちょっとわかるような気がする。軽く走るのは楽しいけれど、レースでだれかと競争したい訳じゃない、という人は多いのではないだろうか。いつものコースもいいけれど、行ったことのない街を迷いながらジョギングするのは楽しそうだ。

yagian.hatenablog.com

旅と移動速度

「暮らすように旅をする」と、移動速度がぐっと遅くなる。移動速度が遅くなると、同じところを訪れても見え方がずいぶん違ってくる。

バスに乗って観光地を効率的にめぐるのと、街をあてもなく歩くのでは、おなじ「旅行」と言っても体験の内容はまったく違う。また、自転車に乗ると、徒歩に比べるとスピードが上がって、行動範囲が広くなり、また、爽快感もあり、これもまた別の体験になる。もちろん、どの移動速度がすばらしい、ということではなく、それぞれの楽しさがある。飛行機に乗ってはじめて見える景色もある。ただ、私個人の最近の気分としては、速すぎない方がしっくりくる。

ジョギングをしながら街を巡るのは、徒歩と自転車の中間の移動速度で、これはこれでまた新しい体験ができそうないいスピードだと思い、ワクワクする。徒歩での街歩きで10kmはけっこう大変だけれども、ジョギングだった十分可能だ。自転車だと自転車の置き場を考えなければならないけれど、ジョギングだと身一つなので身軽である。

「ふらっと旅ラン あの街へ」の第一回目は鎌倉を巡っていたが、たしかにジョギングのスピードにちょうどあったサイズの街だと思う。ジョギングで霊場巡りをするのも楽しそうだ。

三回目のキャブス対ウォリアーズ

三回目のキャブス対ウォリアーズ

今シーズンのNBAファイナルが今週金曜日に始まる。三シーズン連続して、キャブス対ウォリアーズとなった。一昨年はウォリアーズが勝ち、昨年はキャブスが勝った。

今シーズンのはじめから(というより、昨シーズンのNBAファイナルが終わった瞬間から)この対決が期待されており、両チームともに圧倒的な力を見せつけてファイナル進出を決めた。

逆に言えば、ここまでは番狂わせがなくて、レギュラーシーズン、ポストシーズンともに盛り上がりを欠いていた。一年間、溜めに溜めたものをファイナルで一気に放出して、すばらしいファイナルになることを期待している。

奇跡のブロックショット

昨シーズンのNBAファイナルは、レブロン・ジェイムスのこの奇跡的なブロックショットが圧倒的に印象に残っている。

www.businessinsider.com 3勝3敗で迎えた最終戦、第4クォーターは膠着状態になり、両チームともなかなか得点が取れない状態だった。ウォリアーズがファーストブレイクで得点をとれば均衡が崩れそうな雰囲気もあったが、イグダーラがレイアップを決めようとした瞬間、レブロンが信じられない距離から飛び込んできてブロックショットを決めた。このプレーだけで試合の帰趨が決まった訳ではないけれど、一気に雰囲気が変わったことも確かである。

スーパースターだったレブロンが地元の弱小チームであるキャブスに入団し、孤軍奮闘しながらチームを牽引していたが、NBAファイナルに勝つことはできなかった。フリーエージェントになった時、チャンピオンになれるチームとしてマイアミ・ヒートに移籍した。この移籍は大きな議論を引き起こしたが、マイアミ・ヒートで二回NBAチャンピオンになり、いわば有言実行という形になった。

そして、二回目のフリーエージェントになり、地元のチームであるキャブスとふたたび契約した。彼は最終的な目標としてキャブスでのNBAチャンピオンとなることを選んだ。二回目のキャブスとしての最初の年が、一昨年、ウォリアーズとNBAファイナルを争うこととなる。最終的にキャブスの主力選手の怪我が相次ぎ、最後レブロンが孤軍奮闘となってしまい、力尽きる形でウォリアーズに負けることとなった。

ウォリアーズはステフィン・カリーを中心とした若いチームで、ベテランの域に達したキャブスよりは上り調子に見えた。その翌年、ウォリアーズはレギュラーシーズンで記録的な勝ち数を積み上げる。キャブスがチャンピオンになるには、その前年が最後のチャンスだったかもしれない、と思わせる強さだった。

NBAファイナルでは、ウォリアーズが3勝1敗とリードするが、そこからキャブスが盛り返し、そして最終戦の最終クォーターであのブロックショットが出て、レブロンの宿願が達成された。

ウォリアーズ有利と言われているけれど

今年のファイナルはもっぱらウォリアーズ有利と言われている。

去年、ウォリアーズはレギュラーシーズンの勝利数の記録がかかっていたこともあり、ポストシーズンには疲労がたまっていたように見えた。一方、キャブスはファイナルにコンディションのピークをあわせることに成功した。

一方、今年はウォリアーズにはあのケビン・デュラントが加わり、ポストシーズンにピークをあわせることに成功したように見える。キャブスも絶好調でファイナルを迎えているが、去年の状況で接戦だとしたら、そこから大きく積み上げたウォリアーズが有利という予想もうなずける。

しかし、しかしである。ポストシーズン、絶好調のレブロンを見ていると、もしかしてこの状況をひっくり返してくれるのではないかと期待してしまう。それに、今シーズンのウォリアーズは強すぎるけれど、冷静にキャブスをみれば戦力は充実している。

仮に勝てなかったとしても、去年のあのブロックショットのようなプレイを見せてくれるのではないか、と期待している。

 

「勝ってた負けてたはジャッジの仕事なんで、受け入れるしかありません」

先週の土曜日、村田諒太と アッサン・エンダムのWBA世界ミドル級タイトルマッチがあり、エンダムが判定勝ちをした。判定については物議を醸しているが、その当否については、私はよくわからない。ただ、判定を聞いたときの村田諒太の驚いた表情は印象的だった。

その村田諒太Facebookに次のように書き込んでいた。

多くの方に応援いただいたのに、勝つことが出来ず申し訳ございません。
勝ってた負けてたはジャッジの仕事なんで、受け入れるしかありません
それがアスリートの役目かと思っています
少し休んでこの先のことは考えます
応援ありがとうございました。
負けてすみません。
村田 諒太

村田諒太 Facebookより)

 村田諒太のプロ転向、世界挑戦までの道のりは、日本のプロボクシング界最大のプロジェクトである。資金力があり、非常に充実したトレーニング環境が提供されているようだ。一方で、スポンサーをはじめ関係者も多く、村田諒太にかかるプレッシャーも並大抵ではなかっただろう。

自分が勝つか負けるかで周囲にあまりに大きな影響を与える、そのような環境のなか、どのような態度に対応すればよいのだろうか?

自分の力の及ぶことはできうる限りする、そして、力の及ばないことは淡々と受け入れる、それしかないのだと思う。多くの場合、自分の力の及ぶところ、及ばないところを見定めることができず、心が乱れて、自分の力が及ぶことについてベストを尽くすことができないのだろう。

「勝ってた負けてたはジャッジの仕事」というのは、一見、無責任のようにもみえるけれど、自分の力の及ぶ範囲を厳しく見定める結果、こういう言葉になったのだろう。たしかに、判定で勝てるようなボクシングをすることは「選手の仕事」だけれども、最終的に判定するのは「ジャッジの仕事」だ。おそらく、ジャッジに抗議をするのは「ジムの仕事」だろう。

手垢の付いた言葉でいえば「人事を尽くして天命を待つ」ということだが、村田諒太のようにこれを突き詰めることは簡単ではない。