音楽

教養と芸術:細野さんと漱石先生

最近、細野晴臣の音楽にはまっている。 特に、トロピカル三部作と呼ばれるYMO結成前、1970年代中頃に発表されたアルバム「トロピカル・ダンディ」「泰安洋行」「はらいそ」を繰り返し聴いている。 発表当時これらのalbumの売れ行きが悪く、細野さんは「なん…

「ヘタうま」と「ウマへた」

今回も英語版ウェブログ(http://goo.gl/AltqE)の邦訳です。 日本語に「ヘタうま」という、うまく英語に翻訳することができない言葉がある。「ヘタうま」は、「へた」と「うまい」という単語を結合した言葉で、「へた」というのは、技術が優れていない、素朴…

ヒップホップと作者の死

今日も英語版のウェブログ"Hip Hop and the Death of the Author"(http://murl.kz/McEyB)の翻訳である。 私は、1970年代はロックの黄金期であり、現在ではロックは死んでいると思っている。そのことは「世界のすべてのバカ男子のための歌」というエントリー…

リスナーにとってはいい時代になったと思う

四人囃子のベーシストで音楽プロデューサーである佐久間正英が書いたウェブログが反響を呼んでいるようである。「音楽家が音楽を諦める時」 http://masahidesakuma.net/2012/06/post-5.html 「昨夜の投稿の追加文」 http://masahidesakuma.net/2012/06/post-…

K-Popと私

今日の夕食の時、白ワインを飲みながらテレビをザッピングしていた。あいかわらず日本のテレビはおもしろい番組がなくて、KBS-WorldでMusic Bankを見ていた。 あらかじめ断っておくけれど、私はK-Popやその他の韓国の音楽界のことはよく知らないので、これか…

ヒップホップを楽しむことはできるのか

大和田俊之、長谷川町蔵「文化系のためのヒップホップ入門」を読んだ。 そもそも、ヒップホップに入門しようと思って本を読んでいる時点でダメダメなんだけど… この本は、アメリカ文学者の大和田俊之とヒップホップライターの長谷川町蔵の対談形式で進んでい…

日本二在リテファンクヲ為ス

昨日、在日ファンク(http://goo.gl/q2HZI)のライブに行ってきた。堪能、とまではいかないけれど、楽しかった。 在日ファンクは、いわゆる「在日韓国人・朝鮮人」という意味ではなくて、「日本二在リテ」ファンクをするという意味で、メンバーは特に「在日」…

気持ちいい音

この10月から自分の直属の上司が異動になり、その代わりに私がそのポジションにつくことになった。一昨日の夜、そのかつての上司と飲みに行って、いろいろと「大人の話」をした。 といってもふたりきりでずっと「大人の話」だけをするのは辛いので、話はいろ…

日本語でロックをするということの二重の枷

「ロックの死」(id:yagian:20110601:1306875389)で書いたけれど、6月にベン・フォールズのライブに行ってきた。 その後、ライブのチラシを会社の机の脇に貼っていたのだけれども、しばらくは無反応だった。他の部署に所属している一緒に仕事をしている女子社…

ロックの死

ベン・フォールズのライブに行った感想を英語版のウェブログに書いた(http://goo.gl/CIjr3)。 そのなかで、村上春樹がウィントン・マルサリスについて批評しているエッセイの一節を引用した。簡単にまとめると、ジャズにはもはや新しい音楽を創造する生命力…

YMOの成分構成

最近、はっぴいえんどの「風街ろまん」とか”Hosono House”とかTin Pan Alleyの「キャラメルママ」とか、YMO以前の細野晴臣を聴いている。 ソロ・アルバムだからあたりまえなんだけど、"Hosono House"が細野さん(と呼びたくなる)の濃度が高くて気に入ってい…

諸行無常と諦念

英語版のウェブログ(http://bit.ly/fgWkuK)で、こんな記事(http://bit.ly/jK068B)を書いた。 日本語に翻訳するとこんな内容になる。 風をあつめて父親から、終戦の日はとても暑く、日差しが眩しかったと聞いたことがある。その時、東京には何もなかった。東…

ウーマク誠小の歌と人生

昨日、つれあいが夕食の準備をしているときに、上機嫌で「ヒヤミカチ節」の鼻歌を歌っていながらテレビを見ていたら、つれあいに「誠小の歌を聴きながら帰ってきたのね」と言われた。図星だった。「ハウリング・ウルフ」という彼のCDを聴いていた。もしかし…

リリックの翻訳

最近、英語にはまっている、というより、英語と日本語の関係にはまっている。 つれあいに勧められて、日本語で書いていたウェブログを英語に翻訳するようになった。英語で書くことに慣れてくると、日本語で書き始めるウェブログと英語で書き始めるウェブログ…

桑田佳祐、日本語ロック論争への完璧な回答

通勤中、桑田佳祐の新しいCD「Musicman」を聴いていた。 桑田佳祐の大ファンというわけではないけれど、このCDを聴いていると、やっぱり彼は日本のロック史上重要なミュージッシャンなんだなと再認識させられる。 1970年代のはじめの頃、日本のロックミュー…

ペストパーキンママ

昨日、登川誠仁のCD「ハウリング・ウルフ」を聴きながら、会社に行った。 誠小こと登川誠仁は、島唄の代表的な歌い手の一人である。彼の歌声はじつに渋くソウルフルでグルーブしている。彼は島唄の名人だけれども、偉ぶっているところがない。 「ハウリング…

クリスマス・ソング

ブリュットを開けて、夫婦でyoutubeを見ながらクリスマス・ソングを合唱していた。 まずは、ポールとジョン。 次は、懐メロで、ジョージ・マイケル。 あまりにもアメリカ的すぎるのだけれども、歌はうまいと思うマライア・キャリー。 あまりにもかわいい、ジ…

ポールの「思想」

最近、ジョン・レノンの曲を聴いている。このウェブログにもポールとジョンをテーマにした二つのエントリーを書いた。 (id:yagian:20101217:1292538339, id:yagian:20101219:1292711184) また、そのエントリーに稲本がトラックバックをつけてくれ、ポールと…

ポールとジョンとジョージ

ジョンのことをウェブログに書いたところ(id:yagian:20101217:1292538339)、稲本がトラックバックを付けてくれた(id:yinamoto:20101217)。 ジョンとポールの比較は、よく話題になることだと思うが、私はもともとは、稲本の言葉でいえば「音楽的に「美味しい…

前衛芸術家、革命家としてのジョン・レノン

最近、ジョン・レノンの音楽を聞いている。 ビートル時代ももちろんいいけれど、ソロになってからの方が、というか、オノ・ヨーコと結婚してからの方が、よりラディカルになっていて、そこが気に入っている。 ジョンには、"Imagine"のスイートな"Love & Peac…

ビーチボーイズのコーラス

iTuneをアップデートしたら、Genuineという機能が追加されていた。自分が持っている曲を指定すると、曲調が微妙に似ている曲を集めたプレイリストを作ってくれるのである。 さっそく、Ben Foldsの"Philosophy"でプレイリストを作ってみたら、次のような曲が…

ひとつだけ

本棚を整理していたら、「はじめてのやのあきこ」というCDが出てきたので、何気なくプレイヤーに入れてみた。 矢野顕子とゲストの歌い手がコラボレーションする、というアルバムである。 そのなかで、「ひとつだけ」という曲を、矢野顕子と忌野清志郎が一緒…

クンタ・キンテ

昨日、テレビをザッピングしていたら、"The M"という番組の特番をやっていた。その番組では、いろいろなミュージシャンに、自分のルーツとなるミュージシャンについてインタビューをしていた。 今、20歳代のミュージシャンが挙げるのは、彼らが小さい頃、…

80's Pop Music

今日は、ぐっと春めいて、花見時分のような暖かさに誘われて、散歩をかねて図書館まで行ってきた。 図書館の洋楽CDは、いったいどんな基準で集めたのかさっぱりわからない不思議なコレクションで、宝探し気分で棚を眺めていた。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュー…

ヒキコモリ明け

ここのところ調子があまりよくなくて引きこもっていたが、久しぶりに外に出ようという気分になったので、図書館まで散歩をかねて行ってきた。久しぶりに本やCDをたくさん見たので、思わずたくさん借りてしまった。 論語を読む参考にしようと思い、津田左右吉…

イタイけど、スキなの

年明け、4日ごろだったか、NHK−BSでキャンディーズを回顧する番組をやっていた。解散コンサートの映像などが懐かしく、思わず最後まで見てしまった。キャンディーズにかかわったひとたちのインタビューも興味深かったが、メンバーへのインタビューがな…

出したい人より出たい人

大晦日は、つれあいの実家に行き、紅白歌合戦とフィギュアスケートをザッピングしながら見ていた。 いまさら紅白歌合戦の感想もないのだが、おそらく、出したい人は出てくれず、出たい人はコネを使って運動をするという、制作者にとっては頭が痛い番組だろう…

音楽の総括

先週は、音楽をテーマにウェブログを書いてみた。 なるべくバラエティがあった方がよいと思い、Ben Folds、スガシカオ、ハナ肇とクレイジーキャッツ、登川誠仁の四人を取り上げた。実は、金曜日には小泉今日子をテーマにする予定だったけれど、彼女自身のこ…

登川誠仁

今週は、音楽を聞きながらその音楽について書く、という企画をたてたものの、実際に書き始めてみると、無謀だったかなと、少々後悔している。 音楽を聞いて感じることを言語化することは難しいし、本を紹介するときのように引用ができないのもつらい。いつも…

ハナ肇とクレイジーキャツ

天才という言葉はあまり使いたくない。天才という言葉にふさわしいほど才能が傑出している人物などほとんどいないと思うからだ。 しかし、全盛期のクレイジーキャツの歌を聞いていると、青島幸男は天才と呼ぶにふさわしいのではないか、という気にさせられる…