鎌倉三十三観音霊場巡礼結願

鎌倉三十三観音巡礼結願

ここ数年、鎌倉に通って三十三観音を巡っていた。先週の土曜日、三十三か所目の参拝を済ませ、ようやく結願することができた。

巡礼というと四国八十八箇所が有名だと思う。それに比べるとずいぶんこじんまりしているけれど、鎌倉市内にある観音様がいらっしゃる三十三のお寺が「鎌倉三十三観音霊場」(鎌倉三十三観音霊場 - Wikipedia)として選ばれていて、第一番杉本寺に始まり、第三十三番円覚寺仏日庵まで参拝すると結願となる。それぞれのお寺で参拝すると、御朱印を頂くことができる。

下の右が第二十八番建長寺、左が第三十番明月院の御朱印である。お参りをした後、社務所で御朱印帳に観音様のお名前、お寺の名前、参拝日を書き、捺印して頂く。毎日たくさんの御朱印を書かれているからだろう、さらさらときれいな字で書いて頂ける。

三十三観音の御朱印をすべて広げてみるとなかなか壮観である。

結願までの道のり

鎌倉三十三観音はすべて鎌倉市内にあって徒歩で回ることもできる。自動車か自転車を使えば2日ぐらいで回ることができるだろう。徒歩でも4日で回り切ることもできる。四季に分けてそれぞれの季節の鎌倉を体感しながら巡礼するのがおすすめである。

私は自宅から鎌倉まで電車で1時間半ほどかかる。鎌倉にお昼前につくような時間に出発し、早めの昼ごはんを食べた後、午後、4か所か5か所ぐらいお寺を巡る。日が暮れた後、軽くお酒を飲みながら夕食を食べ、帰宅するというパターンでお参りをしていた。

朱印帳を開いてみると、発願の第一番杉本寺の御朱印の日付は平成22年1月10日、最後の御朱印は第十五番来迎寺が平成28年7月16日だから6年半かかっている。

巡礼を始めた時期は、まだまだ体調が優れず、休み休み半日も歩くとすっかりと疲れてしまい、鎌倉で夕食を食べる余裕もなく、帰りの電車のなかでぐったりと眠りながら帰ってきた。途中、さらに体調を崩して鎌倉行きを中断していた時期もある。後半になると体調も回復して、半日歩き回ってもあまり疲れることもなく、夜のお酒と食事を楽しみにしながら歩けるようになった。

すっかり三十三か所のお参りを済ませたつもりで、第三十三番建長寺仏日庵で結願の印を押してもらったのだけれども、あとで御朱印帳を見返してみると御朱印が32しかないことに気がついた。来迎寺という名前のお寺が2か所あり、第十五番の方の来迎寺にお参りしていなかった。そして、後日、来迎寺を訪れ、なんとか三十三か所のすべてに参拝することができた。

鎌倉のお寺の個性

三十三観音霊場のお参りをする前も、幼少の頃から折りに触れ鎌倉に遊びに行く機会はあった。円覚寺建長寺長谷寺、大仏などはお参りしたことがあったけれど、それ以外のお寺ははじめてだった。

さまざまな個性を持ったお寺があり、鎌倉の歴史の深さを感じることができた。円覚寺建長寺は立派な門があり、禅宗の厳しい雰囲気が感じられる。一方、長谷寺は大衆的なお寺で、賑やかで優しい雰囲気だ。

山際にあるお寺と海岸に近い開けた土地にあるお寺でも雰囲気が違う。北鎌倉には禅宗にお寺が集まっているが、山の方が静かで修行に向いているのかもしれない。下の写真は建長寺のなかにある龍峰院という塔頭で、まるで京都のお寺のようだ。

第一番杉本寺は山寺の雰囲気があって、お寺まで登る石段が苔に覆われていて美しい。その近くにある報国寺には美しい竹林があり、そのなかの茶室でお抹茶を頂くことができる。夏でも涼しく、疲れた足を休めることができる。

海側のお寺では、材木座の光明寺が印象に残っている。海水浴場のごく近くあり、立派な山門がある。開けた土地にあって、山の中の狭い谷にあるお寺と違い開放感がある。極楽寺のそばにある成就院では、海を背景にしてあじさいを見ることができる。鎌倉大仏がある高徳院霊場に入っている。

 鎌倉の移り変わり

六年もかけて鎌倉を巡った怪我の功名で、鎌倉の移り変わりも感じることができた。

観光地として、鎌倉の観光客は年を追って増えているように思う。外国人観光客も増え、休日には江ノ電に乗るのが難しいぐらい盛況になっている。三十三観音霊場巡礼をする人も増え、御朱印帳を持っている人が目につくようになった。

小町通りもいつも人で溢れていて、いかにも観光地といった風情のお店も多くなった。しかし、路地を入ったところには、古民家を改装して鎌倉野菜を使った料理を提供するお店が点在している。夜、そんなお店でお酒を飲みながら、その日お参りをしたお寺の話をするのが楽しい。

三十三観音霊場になっているお寺は、鎌倉のなかでもあまり観光客が足を伸ばさないような場所にも点在している。そういうところは、静かで上品な住宅街が広がっている。巡礼というきっかけがなければ足を伸ばすこともなっただろうと思う。

観光地としての鎌倉、住宅地としての鎌倉、山の鎌倉、海の鎌倉と、鎌倉のさまざまな側面、魅力を見ることができた。今回、三十三観音霊場巡礼は結願し、鎌倉に行く機会は減るだろうけれど、これからも鎌倉を歩いてみたいと思う。

また、御朱印帳を持って別の霊場巡礼にも挑戦してみようと思っている。