チームプレイ

カージナルスレッドソックスワールドシリーズ第一戦を見ている。非常に厳しいポストシーズンの戦いを続けているから、どちらのチームもピッチャーは万全ではない上に、打線は非常に充実しているから、ワールドシリーズも激しい打撃戦が続くと思っていたけれど、第一戦からさっそくそのような展開になっている。
今シーズン、カージナルスをじっくり見る機会はあまりなかったけれど、なかなかよいチームだと思う。すっかりベテラン揃いになってしまった今のヤンキースと比べると、若手とベテランのバランスがいい。打つだけではなく守備もいい。
カージナルス田口壮の10月21日の日記(http://www.taguchiso.com/contents/f-mail.htm)に「まずはチームさえ勝てば、それが何より、という気持ちで常に戦っていますが、個人的にも、今日の優勝は、あの1996年の日本一に勝るとも劣らない、感慨深い出来事です。」と書かれていた。イチローは、今年のシーズンを「最高に熱くなった」と語り、1996年のシーズンについては特に触れなかった(id:yagian:20041006#p2)。
野球の魅力はさまざまある。貧乏な弱小チームが工夫を重ねて、裕福で高給取りをそろえたチームを倒す試合は興奮する。とんでもなく速いボールを投げるピッチャー、ありえないほど速い打球を打つバッターを見る驚き。一流の選手たちのベースランニング、スローイングの美しさ、そして、バッターボックスやピッチャーマウンドでの独特の動作。レギュラーシーズンであれば、こういった楽しみで十分満足できる。
しかし、ポストシーズンであれば、いちばん濃密な楽しみは、最高の選手が一丸となって勝利を目指しているチームが、最後の最後まで全力を出し切った試合を見ることだと思う。やはり、この瞬間があってこそ、一シーズン野球を見続けることができる。
つれあいが、サッカーのワールドカップを見たとき、選手たちが試合の最終盤に疲れて走れなくなってしまった状態を見て驚いていた。世界のなかでもトップの選手たちですら、そこまで力を使い尽くしてぼろぼろになることがある、ということに驚いたようだった。そのような姿を見ることができることが、あれだけ大規模な大会を開催する意義である。
野球でいえば、今年のアテネオリンピックでの高橋由伸のヘッドスライディング(http://sports.nikkei.co.jp/athens/photo_baseball.cfm?i=20040821pl008pl)、去年のヤンキースレッドソックスリーグチャンピオンシップ第7戦で松井秀喜がホームインしたときの喜び(http://mlb.mlb.com/NASApp/mlb/mlb/ps/y2003/gallery.jsp?view=bos_nyy)。これが野球を見る最大の楽しみだと思う。想像であるけれど、選手にとってもこれこそが最高の喜びではないかと思う。イチローにとっては違うのかもしれないけれど。
今年のMLBのポストシーズンリーグチャンピオンシップ以降は、チームの戦力が均衡し、選手たちのモティベーションも非常に高く、力を出し切った戦いをしている。ヤンキースを応援していた私は、リーグチャンピオンシップのヤンキースの選手たちがやれるところまでやった姿を見て、今シーズンは満足した。
しかし、レッドソックスカージナルスの選手たちは、さらに力を絞り尽くさなければならない。