翻訳の楽しさ

はじめは、著作権が切れた英語の小説を和訳をしようと思って作った「翻訳のページ」だったが、翻訳したい小説は著作権が切れていないことが多く、なかなかアップロードできる翻訳がなかった。
ひょんなことで今昔物語を読み始めたところ、そうか、今昔物語は著作権が切れているから、これを現代語訳したものを「翻訳のページ」に載せよればいいと思いついた。
できあがった現代訳はつたないものだけれども、訳している当人はいたって楽しい。
言い尽くされている評言だと思うけれど、今昔物語集の文体はシンプルで力強く、よけいな言葉がなくて気持ちがいい。よけいな言葉がないだけに、読み手の想像力によって引き出されるものが左右される。
いままで、芥川龍之介「羅生門」は、どこがよい小説なのか、いまひとつわかっていなかった。しかし、今昔物語の「羅城門登上層見死人盗人語」「羅生門」を比べると、芥川の想像力の深さがよくわかった。素直に、たいしたものだと思った。
これも、今昔物語集を訳す楽しみの一つである。