世界文学

最近、あわただしくて更新がままならない。
しばらく前のエントリだけれども、印象に残った。
http://munaguruma.air-nifty.com/blog/2004/12/post_1.html
たまたま、前の日記(id:yagian:20041207#p3)で、芥川龍之介が、ジョイスの「若い芸術家の肖像」のについて書いた感想について触れた。「ダブリナーズ」と芥川の短編を比較しようと考えたことはなかったけれど、二人は同時代の作家であった。
芥川とジョイスを比べるのはあまり適当ではないかもしれないが、横光利一の小説を読んでいると、背伸びした感じが痛々しく感じられ、同時代のヨーロッパの作家の小説と比較すると、その痛々しさが増すように思える。横光の仲間だった川端康成は、なぜかそういう痛々しさを感じさせないような小説を書いているのが不思議である。
実際、世界文学の教科書に、大江健三郎が登場しないのと同じように、横光の作品は登場しないのだろう。しかし、川端の作品は登場する。
それはそうと、「今昔物語集」(岩波文庫)(ISBN:4003001931)を買い、少しづつ読み進めている。気に入った話を少しづつ現代語訳をしてみようと思う。道楽で訳すのだから、あまり制約を作らず、自由に訳してもよいかもしれないと思い返している。
今日読んだ話のなかでは、「巻第十九讃岐の国の多度の郡の五位、法を聞きて即ち出家せる語 第十四」がよかった。芥川の「往生絵巻」の素材となっている話であるが、これは、芥川の小説より「今昔物語集」のこの話の方が圧倒的によい。