嫉妬

年が明けて、身近な人が書いた本が続けて出版された。
兄が書いた高木徹「大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか」(文藝春秋)(ISBN:4163666001)と、大学時代の友人である稲本喜則「当面の敵―というのを決めることにしたのだ。」(草思社)(ISBN:4794213794)である。
「大仏破壊」は、タリバンに関するノンフィクションである。感想は先週の日記(id:yagian:20050115)に書いた。
「当面の敵」は、(id:yinamoto)のウェブログを本にまとめたものである。内容をあえて説明するとすれば、インテリっぽい軽い笑える文章を集めたもの、ということになるのだろうか(って書くと本人はいやがるかもしれないけれど)。とにかく、ジャンルに収まらない本なので、紹介がしにくい。前書きに、山下洋輔宮沢章夫の影響を受けたと書いてあったけれど、確かに、彼らの文章に似ているところがある。私は、南伸坊のテイストにも近いように感じる(山下洋輔宮沢章夫南伸坊も、いい意味でのインテリだ)。
しかし、昔であれば、身近な人が書いた本の出版がつづくというような事が続けば、内心、嫉妬の炎が燃え上がっていただろうと思うけれど、最近は、素直に喜べるようになった。
以前は、「俺だって、本当は、そんなことができるはずなのに、なんでできないのか」という思いに駆られて嫉妬していた。ここのところ、年を取ったというのことなのか、自分の等身大の能力をリアルに見つめることができるようになってきた。だから、自分にできないことに対しては、嫉妬せず、素直になった。以前は、人のすることを何でも自分と引き比べて考えていちいち悶えていたのだが、最近は、自分と比較せずに見ることができるようになった。
それがよいことなのかどうかはわからないけれど。