消耗戦

フジテレビで、プライドのヘビー級タイトルマッチ、エメリヤーエンコ・ヒョードルミルコ・クロコップ戦を見た。
対戦相手の技量があるレベル以上になると、簡単に試合が決まらず、消耗戦になることある。ミルコ・クロコップは、勝っても負けてもKOの短い勝負が多かったが、この試合は、めずらしく消耗戦になった。
ヒョードルはスタンドでもグラウンドでもプレッシャーをかけ続け、ミルコの方が先にスタミナが切れたように見えた。第3ラウンドは、二人とも消耗しきっていてが、それでも最後の力を振り絞って戦っていた。結局、カウンターねらいだったミルコに対して、前に出続けたヒョードルの判定勝ちになった。
決め手に欠いた低レベルの消耗戦は退屈だが、お互い決めに行きながら全力を出し尽くした消耗戦は、見ていると息が詰まる。
つれあいが、サッカーのワールドカップの試合を見ていて、試合の終盤、スーパースターであっても消耗しきって走れなくなる姿に驚いていた。どのスポーツでも、技量があるレベルを超えると、最後は体力、スタミナが勝負の決め手になることがある。
ヒョードル以外の相手と試合をするミルコは、いつも自分のペースで試合を進める。相手の攻撃を出させて、余裕をもって受けとめる。徐々に、相手はどうやって攻めてよいかわからなくなる。そして、最後はミルコのカウンターの打撃を食らってしまう。時には、相手の攻撃をかわすことができず、ラッキーパンチをもらって負けることもある。いずれにせよ、ミルコが全力を使い果たした姿を見せる試合展開にならない。
しかし、ヒョードルは、ずっと試合をコントロールしていた。ミルコは、ヒョードルの攻撃をかわすのが精一杯で、最後まで自分のペースに持ち込むことができなかった。その結果、ヒョードルは、ミルコが最後の力を使い尽くす姿を引き出した。
濃密な試合だった。