亀田兄弟の残酷な楽しみ方

昨日、長谷川対ウィラポンのタイトルマッチをテレビで見た。
長谷川はスピードがあり、パンチも多彩で、これこそがボクシングだったのだと見直した。ウィラポンは全盛期は過ぎているのだろうけれど、真っ向勝負を挑み、それが試合を盛り上げていた。
こういう試合を見ると、亀田兄弟も、あわてずにじっくりと育てて、実力がピークになったときに世界タイトルに挑戦ができるようになればいいのにと思う。ボクシングのことはまったくの素人だから、亀田兄弟をきちんと育てれれば、長谷川のような本格的な世界チャンピオンになれる素質があるのかどうかはよくわからない。しかし、彼らは、彼らをスターにするプロジェクトから抜け出すことはできないから、ほんとうに強くなるための試合が組まれることはないだろう。そのことを気の毒に思う。
以前、フィギュアスケートを見る楽しみの一つに、ジャンプを失敗するのを密かに期待して見ることがあると書いた(id:yagian:20051218:p4)。亀田兄弟の試合も、同じような楽しみがある。
ここまでは、彼らが勝てる相手、倒せる相手を選んで試合が組まれてきた。世界タイトルを獲るには、いずれ危険な相手と試合をしなければならない。それに、いかに安全な相手を選んでいても、ボクシングである以上、赤井英和のように万に一つの間違いが起きる可能性もあるだろう。
亀田兄弟の試合のテレビ中継があると、つい見てしまう。それは、いずれ起きるであろう、彼らがマットに倒れる瞬間を見逃したくないと思うからだ。今の彼らは、試合内容そのもののおもしろさより、いつ負ける瞬間がやってくるのかというスリルの方がまさっている。