信頼

昨日の会社からの帰り道、遠回りをして桜がきれいな公園に寄り道をしてきた。ふだんは、遊具がおいてあるごく普通の街区公園だけど、この季節になると桜のトンネルになる。
満開の桜が街頭に照らされて、夜空に白く浮かび上がっていた。冷たい風が吹いていたせいか、公園には人気がなく、しばらく一人きりで、上を見ながら桜の木の下に立っていた。
ここ数日、仕事の上でのミスの収拾に駆け回っていた。昨日は、上司といっしょに迷惑をかけたお客さんに謝りに行ってきた。問題が解決した後、謝罪に行ったお客さんから、上司に電話がかかってきた。上司によると、そのお客さんは、こんな話をしたという。
そのお客さんは、私のことを非常に高く買っていて、これまでもお世話になってきた。今回の件で縁が切れるようなことなく、これからも仕事をお願いしたいし、がんばって仕事をしてほしい、と。
じつに、ありがたかった。こんな言葉をいただけるほど、それほど高く買っていただけるほどの仕事をできていたとは思えず、意外だった。素直に、この信頼に応えなければと思った。最近、仕事に倦んでいたけれど、すこし勇気がわいた。
自分は、誰かをきちんと信頼しているだろうか、また、誰かを勇気づけるようなことを語っているだろうか、自分が一緒に仕事をしている人たちの顔を思い浮かべながら考えて見た。
そうして、桜の木の下で、泣きたいような気持ちになった。