時機到来

先週の日記(id:yagian:20070415:1176604208)に書いたように、自己啓発のための読書をしている。今週は、スティーブン・R・コヴィー「7つの習慣」(キングベアー出版 ISBN:9784906638017)を読んだ。
この本の名前は以前から知っていたけれど、こういった「自己啓発本」をうさんくさく感じていたため、手に取ることはなかった。しかし、最近、ちょっとした挫折をして、生活や仕事のあり方を見直さなければと考えていたこともあって、読んでみることにした。
冒頭の部分で、この本に書かれていることは、文化、宗教を超えた普遍的な人生の原則だということが書かれていたが、どう考えても、普遍的なものとは思えなかった。マックス・ウェーバーは、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(岩波書店 ISBN: 4003420934)のなかで、「フランクリン自伝」(中央公論社 ISBN:4121600738)を、「資本主義の精神」の典型例として取り上げていた。この「7つの習慣」も、まさに、「フランクリン自伝」の系譜の上にある「資本主義の精神」について書かれたものだった。だから、普遍的な原則ではないと思う。
以前であれば、この部分を読んだだけで、もう、ばからしくなってしまってその先を読むことをやめてしまったと思う。しかし、何か自分を変えるためのヒントが得られるのではないかと思い、続きを読むことにした。この本は、大いに参考になった。
一か所だけ引用したいと思う。

優れた書物を読むということは、社会に対する理解を高め、自分のパラダイムを拡大し、知的側面の刃を研ぐことである。……理解しようとしながら読めば、なおさら効果的である。自叙伝を持ち出し、すぐに評価を下してしまえば、著者の言わんとしていることを理解するには至らず、読書の価値を減少させてしまうことになる。

いままで、読書に限らず、狭量に自分の狭い経験の範囲で評価を下すことで、自分の世界を小さいものにしてきたように思う。そういった傲慢な考えが今の挫折を招いてしまったと思う。
本との出会いには、しかるべき時期があるのだと思う。今、この「7つの習慣」を読むべき時期が到来していただろう。