栄枯盛衰

ここのところ、会社復帰への心の準備のために、ビジネス関係の本を読んでいる。今はまだ時間があるので、なるべく古典的な本を選んでいる。
そのなかの一冊で「エクセレント・カンパニー」を読んだ。繰り返しが多く、整理が不十分という印象はあるが、実例が豊富で参考になった。この本を読んでいる間に、会社に復帰した後に提案しようと思うアイデアがいくつか浮かんできたから、読むだけの価値はあったと思う。
この本の主題とは直接関係ないが、印象に残った一節があったので引用したい。

ニューヨーク・タイムズ・マガジン』の最近の特集で、東京特派員のスティーブ・ローアは、ほんの10年前まで世界中が、アメリカの研究所や工場あるいはアメリカの規模の大きさそのものばかりでなく、アメリカの経営テクニックにも恐れをなしていた、ということを書いている。

「エクセレント・カンパニー」が出版されたのが1982年である。この時期は、日本経営礼賛から日本異質論、ジャパン・バッシングが盛り上がっていた時期である。いずれにせよ、アメリカ企業の経営に問題があるとされていたわけである。その10年前、つまり1970年代初頭以前は、「アメリカの経営テクニックにも恐れをなしていた」という。そして、この本から15年のちの1990年代半ば以降、再び「アメリカの経営テクニック」が全盛を迎えることになる。そして、サブプライム・ローン問題を端緒として、「アメリカの経営テクニック」も結局のところ、バブルを避けることができなかったことが明らかになり、再び斜陽になるのかもしれない。
最新流行の本だけを追わず、古典的な本をその時代背景を考えながら読むと、さまざまな栄枯盛衰が見えてくるのである。

エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)

エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)