アンブローズ・ビアズ「悪魔の辞典」(以下の引用は、角川文庫 p104)の教育の項目に次のように書かれている。
EDUCATION, n. 【教育】双方とも理解力に欠けていることを、利発ものにはしかと知らしめ、うつけものには隠してしかとはわからぬようにさせるためのもの。
少々訳文がわかりにくいが、教育によって賢者は理解の限界を知り、愚者は理解の限界を知ることがない、といった意味だろう。
これは、論語の次の一節(岩波文庫 p43)を思い起こさせる。
子曰、由、誨女知之乎、知之為知之、不知為不知、是知也、
子の曰わく、由よ、女(なんじ)にこれを知ることを誨(おし)えんか。これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり。
先生がいわれた、「由よ、お前に知るということを教えようか。知ったことは知ったこととし、知らないことは知らないとする、それが知るということだ。」
巻第一 為政第二 十七
知ることの限界を自覚することを教える言葉である。
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