読書メモ:酒井穣「はじめての課長の教科書」

以前はビジネス本はバカにして読まなかったけれど、最近はビジネス本にも読者の心構えによってそれなりに得るものもあるという心境になってきたので、読むようになった。
今回は、中間管理職向けのビジネス本、酒井穣の「はじめての課長の教科書」を読んでみた。著者も書いているが、経営層向けのビジネス本や、逆に、一般社員向けのルーティーンを効率化するためのビジネス本はたくさんあるけれど、中間管理職向けのビジネス本は需要がありそうなわりには少ない。いい線を狙った本だと思う。
これを読み、中間管理職としての自分はなってなかったと反省した。しかし、この本に書かれているようなすぐれた中間管理職も、実際にはなかなか存在しないとも思った。

課長として最も大切な仕事は「部下のモティベーションを管理する」という仕事です。(p30)
部下各人のプロフィール(性格、家庭環境、長所、短所、モティベーションの源泉など)を徹底して熟知しなさい。(p33)

部下を信頼して仕事を任せて口を挟まない方が部下のモティベーションを高める程度の初歩的なモティベーション管理法は知識として知っているけれど、ついつい我慢できなくなって小うるさい上司になってしまう。
プロフィールを徹底して熟知するには深い付き合いが必要になりそうだけれども、上司を避けようとする部下と人間的な深い付き合いをする根気はなかなか湧かなかった。もう少し、部下に対して興味を持って観察をしなければ、と思う。
逆に、自分がよき部下になるという観点から考えたとき、少なくとも何がモティベーションの源泉になっているのかは、上司にはっきり伝えた方がよい、ということに気がついた。上司が私のモティベーション管理をするにあたって、私のモティベーションの源泉を知らなければうまくできるわけがない。それは、上司にとっても、部下としての私にとっても不幸な状況だろう。

中間管理職は、部下にルーティーン・ワークを徹底的に教え込み、ルーティーン・ワークから外れる例外を、すばやく発見できる仕組を作り上げることが仕事の第一歩です。(p55)
部下が「何かあれば課長に守ってもらえる」という実感を持って、安心して業務に専念できるような環境を作る。(p71)

初めて付いた上司がさっぱり部下たる自分を守ってくれない人だったことを反面教師として、ルーティーンから外れた問題は上司たる自分が引き受け、何かあった時は部下を守ろうという気概を持とうと思ってきた。しかし、部下から見てもそのように見えていたのか、と問われると、少々自信がない。
うつ病になったときの上司が、自分を守ってくれる人だったのは幸運だったと思う。休職するとき、抱え込んでいた仕事を投げ出してしまったとき、実にうまい采配でさばいてくれた。これには感謝している。

Cクラス社員にこなせる仕事を、課長が見つけだして与えることです(p142)

これは難しく、やろうと考えていたけれども、うまくできなかった。本人に悪気はないけれども、どうしてもCクラス社員という人はいる。仕事はやってもらわなければならないが、なかなか本人の能力に見合った難易度の仕事を見つけだすことが難しかった。割り切って、アルバイトに頼むような仕事をやってもらえばよかったのかもしれないと反省する。

はじめての課長の教科書

はじめての課長の教科書