異文化摩擦を乗り越えるには

今月ももう数日になってきたけれど、相変わらず仕事を半分、勉強を半分ぐらいで会社の時間を過ごしている。
前にも書いたけれど、10月以降は異動する予定である。今日の仕事は、今いる部署の来月以降の仕事にかかわる企画書の作成である。自分自身が携わらないことは決まっているから、あまり頑張りすぎた内容にして、実際にその企画書に従って仕事をする人に迷惑をかけるのも申し訳ないから、気合いを入れすぎないように心がけて企画書を作ることにした。
午前中でその企画書を片づけて、午後は読書をする。今日は、図書館の経営学の棚で見つけた「経営学」という題名の教科書を読んでいる。これまで、ビジネス書や経営学にかかわる本はそれなりに読んだことがあるけれど、いわゆる「経営学」の全体像を把握しておきたいと思い、この本を手に取った。教科書だから仕方ないともいえるが、書かれている内容がやや古く、最先端の研究にあまり言及されていないところがややものたりなかった。しかし、「経営学」の範囲はだいたい把握できたと思う。
昨日のエントリー(id:yagian:20080924)で、私の勤めている会社では経営者と従業員で企業文化に断絶があることについて書いた。この「経営学」の教科書を読みながら、いくつか思い当たるところがあった。
「第6章企業の人間的側面(1)」のなかに、例のダグラス・マグレガーのX理論−Y理論の紹介があった。関連するところを引用したい。

 X理論的とは、①普通の人間は生来、仕事が嫌いで、できることなら仕事はしたくないと思っている、②この、仕事は嫌いだという人間特性があるために、たいていの人間は強制されたり、命令されたり、処罰するぞと脅されたりしなければ、企業目標を達成するために十分な力を出さないものである、③普通の人間は命令される方が好きで、責任を回避したがり、あまり野心を持たず何よりもまず安全ンを望んでいるものである、……
……
 これに対しY理論とは、①仕事で心身を使うのはごく当たり前のことであり、遊びや休憩の場合と変わりはない、②外から統制したり脅かしたりするのが企業目標を達成する手段ではない、人は自分が進んで身を委ねた目標のためには、みずから自分にムチ打って働くものである、③献身的に目標達成につくすかどうかはそれを達成して得る報酬しだいである、④普通の人間は、条件次第では責任を引き受けるばかりか、みずから進んで責任を取ろうとする、⑤企業内の問題を解決しようと比較的高度の想像力を駆使し、手練をつくし、創意工夫をこらす能力は、たいていの人間に備わっているものであり、一部の人だけのものではない、⑥現代の企業においては、日常、従業員の知的能力のほんの一部しか生かされていないといった内容である。
(pp72-73)

私の勤めている会社の従業員の企業文化はまさにY理論的である。ただし、経営者が考える目標や報酬と、従業員が考える目標と報酬が一致していないだけである。このような企業文化をもった従業員には、おそらく、大きなポテンシャルがあり、それを活かすことができれば、経営的にも大きな成果を得られるはずである。しかし、今はそうなっていない。
また、「経営学」の別の箇所に次のような一節があった。

経営者のリーダーシップでつ強く求められるのは、将来を洞察し、人々を動機づけることである。正しい製品−市場戦略を立案し、創造的組織文化を作り上げ、組織と管理制度を変え、目的の実現に向けて人々を動機づけることである。必要に応じて、ビジョンと戦略をわかりやすく、説得力のある形で人々に語りかけることである。現代の経営者に特に求められるのは創造的組織文化の確立である。E.H.シャインがいうように、リーダーが行う真に重要な唯一の仕事は、文化の創造と管理である。
(p90)

会社の問題点のすべてを経営者に帰するのはあまり好みではないが、この経営者と従業員の文化の断絶を解決する鍵は、経営者にあるのだと思う。創造的組織文化の基礎は、すでに築かれている。ビジョンと戦略を提示することで、従業員を動機づけることを期待したいと思う。

経営学 (基本テキスト・シリーズ)

経営学 (基本テキスト・シリーズ)