いけずな経済学

今日の日経新聞の経済教室は、たばこ税に関する経済学の観点からの議論を紹介している。
こんな記述を見ると、つくづく経済学はいけずだなぁと思う。自分もわりと身も蓋もない考え方をする方だと思うけれど、ここまでいけずなことを公に書くことには抵抗を感じる。
社会保険の観点からみた喫煙者の存在の利害を論じた部分である。

……喫煙習慣の有無で保険料に差がないと、喫煙による健康障害に対する医療保険給付に非喫煙者の保険料が使われてしまう。一方、喫煙者の平均余命が短いため、公的年金では逆に喫煙者の保険料が非喫煙者の給付に回り、医療保険の外部性を相当程度相殺する。
日本経済新聞 2008年10月6日 21面 経済教室「たばこ増税効果いかに」東大教授 岩本康志)

喫煙者は、早死にすることで年金財政を楽にしてくれる、という効果があるわけだ。逆に言えば、長生きする人は社会的費用が高いということになる。
そのうち、経済学者は、健康な人にはより多くの年金保険料を賦課すべきと言い出すかもしれない。