新聞の片隅から

あいかわらず日経新聞金融危機と不況のニュースで埋め尽くされているけれど、その片隅にいくつか気になった記事があったので、引用していこうと思う。

十五日に約一万八千二百人の高齢者が年金から誤って医療保険料を天引きされた問題で、厚生労働省は誤徴収が起きた市町村が二百以上あるとの見通しを明らかにした。
日本経済新聞朝刊 2008年10月16日 5面 誤徴収、200市町村以上で)

この誤徴収という問題は、最近特に増えたのか、社会保険庁や市町村特有の問題なのか、それとも、公共料金の引き落としや給料からの天引きでも、実は一定の確率で誤徴収があるという問題なのか、気になるところである。
毎月、公共料金の支払いや税金や社会保険の天引きは、かなりの種類になるが、毎回確認しているわけではないから、誤徴収があっても気がつかないだろう。固定資産税や地方税の税額になると、自分で計算しているわけではないから、誤りがあっても気がつきようがない。
マスコミには、ぜひ、もう一歩踏み込んで、誤徴収が一般的なものなのか、社会保険庁関係に限られているものなのか、明らかにしてもらいたいと思う。

 博報堂シンクタンクである博報堂生活総合研究所は大学生や社会人、一般の人を対象とした市民学校を開講する。企業の社会的責任(CSR)活動強化の一環で、新規事業を生み出すのに必要な物の見方や発想の仕方を教える。博報堂グループで実施していた社内研修用プログラムに手を加えて社外に公開する。
日本経済新聞朝刊 2008年10月16日 13面 博報堂生活総研が市民学校)

社内研修プログラムを社外に公開する、というところがおもしろいと思った。
会社員生活をおくったことがある人は誰しも感じていると思うけれど、会社にはかなりの教育的機能がある。それをうまく生かした試みだと思う。インターンシップも、OJTによる教育を社外に公開する試みといえると思う。
この他にも、まだまだ、公開すれば教育的価値があるプログラムを、会社のなかから発掘することはできるだろう。

「外国に行くなら、できるだけその土地の言葉を勉強し、ホームステイするといい。それも欧米以外の小国に滞在することを勧めたい。小さな国に身を置いて米国や日本の行動がどう見えるのか体験するのです。きっと何かが見えてくる……」
日本経済新聞夕刊 2008年10月16日 13面 異文化への誘い 川田順造さんに聞く)

若い頃は欧米以外の小さな国によく旅行していた。最近は、怠惰になってしまったのか、そのような旅行をしなくなって久しい。久しぶりに「小さな国に身を置いて」みるのもいいかもしれないと思った。

 思えば喜田貞吉という学者にはどこか捉えどころのない、奇妙な存在感があって、どうにも憎めない。……その喜田がまた、大の旅行好きだった。……ところが紀行文となると生涯にわずかに十編とむしろ少ない。
……
 「隠岐日記」(明治三十八年)などは、比較的に紀行らしい紀行である。隠岐に渡る前の晩、美保の町に泊まった。そこはいかにも妙な所だった。素人家の娘が、天下晴れての「遊君」で、呼ばれて宿屋にやって来る。高等小学校の女生徒のなかに、その見習いが現われ、羨ましがられている、と校長先生が歎いている。
日本経済新聞夕刊 2008年10月16日 17面 他者の旅を追体験する 赤坂憲雄

最近、キャバ嬢があこがれの職業で上位になったという話を目にした記憶がある。昔からも同じようなことがあったようである。
たけくらべ」のことを連想した。

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)

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