あはれなるわざなりけり

古本屋から対訳注釈付きの「源氏物語」一式と橋本治「窯変源氏物語」一式を買って、一回挑戦して挫折して以来、ずいぶん長い間積ん読状態が続いていた。ふと読んでみようと思い、再挑戦することにした。
一帖ずつ、まず、「窯変源氏物語」で大意をつかんで、「源氏物語」の本文を読んでいる。現代語の源氏物語は、どうしても説明的になる部分があるから、「源氏物語」の本文に比べると劣る。しかし、いきなり本文を読めるほどの素養がないので現代語訳もがまんしながら読んでいる。
冒頭の「桐壺」を読むと、とにかくみなよく泣くのが印象的である。帝は最愛の桐壺更衣に先立たれると、夜も寝られず、食事ものどを通らず、政務も手が着かず、一日中歎き悲しんでいる。それに対する非難する人もでてくるけれど、作者の紫式部はそんな帝に対して否定的ではない。
今の謹厳な天皇とは大違いである。

源氏物語(1)日本古典文学全集 12

源氏物語(1)日本古典文学全集 12

窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫)

窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫)