本物主義

夫婦をやっていることのおもしろさの一つに、相手の生活や趣味に巻き込まれることで自分の世界が広がって行くことがある。
つれあいのおかげで自分だけでは知らなかった世界に触れることができたし、逆に、つれあいを自分の世界にかなり引き込んだこともある。
つれあいを自分の趣味の世界に引き込む時、最初に体験にはそのジャンルの最高の本物に触れさせるということに気をつけている。どんなジャンルでも、そのなかで最高のものは、初心者にとってもすなおに感動できる普遍性があると思っているからだ。そのジャンルの中でつまらいものを体験して、ジャンル自体を嫌いになってしまうのはもったいないと思う。
だから、野球場に初めて連れて行く時はヤンキースタジアムに、バスケットボールはステープルセンターでレイカースを、ミュージカルはブロードウェイで、シュノーケリング八重山諸島の青い海で、歌舞伎は玉三郎を、文楽近松を住太夫で。
つれあいにとって、初めての体験で戸惑いはあっても、どれも忘れられない体験になったと思う(思いたい)。
しかし、つれあいが「スキーをするならアスペンかサンモリッツがいい」と言った時には、本物主義もちょっと行きすぎかなと思った。