非情の采配ー岡田監督の決断ー

4年前、ドイツ・ワールドカップでは、試合後に中田英寿がひとりグラウンドに仰向けで倒れていたことに象徴されるように、チームは空中分解し、無惨に敗退した。このことは深いトラウマになり、今回のワールドカップ関連の番組でも、ドイツ・ワールドカップの映像が流されることもなく、コメンテーターも言及しなかった。今回の日本代表への期待が低かったのは、テストマッチ4連敗もあるけれど、このトラウマが大きな理由だった。そして、ようやくそのトラウマを解消することができた。
今回の日本代表が成功できた最大の原因は、4連敗したテストマッチからフォーメーションを変えたことにあるだろう。テストマッチの後、岡田監督はインタビューで「戦える選手と戦えない選手がはっきりした」と語っていた。中村俊輔を戦えない選手として見切り、本田圭佑長谷部誠をチームの中心に据えた。岡田監督は、フランス・ワールドカップの時、三浦知良を代表メンバーから外したことで物議をかもした。今回は、中村俊輔を見切ったことに対して批判は起きなかったけれど、大きな決断だったと思う。
監督の最も重要な仕事は、選手の選考、起用だろう。岡田監督は、自分の信念にしたがって重要な決断を下すことで、ワールドカップの代表監督としての資質があることを証明した。