バリ旅行:二日目ウブドを歩く

「バリ旅行:旅の準備」(id:yagian:20100813:1281688165)、「バリ旅行:一日目東京からウブドへ」(id:yagian:20100814:1281737193)の続きです。

ジャングルのなかのホテル

目が覚めてカーテンを開けるとホテルの周りの景色が目に入ってくる。
ホテルがジャングルに覆われた深い谷の斜面に建っていることがわかる。熱帯のジャングルの緑が濃い。谷の向こう側に、別のリゾートホテルと村の集会所らしい建物が見える。
ベランダの椅子に座っていると、熱帯の鳥の声が聞こえ、空にはツバメのような小さな鳥が飛び交っているのが見える。木の幹に何かが動いたのが見えたかと思ったら、リスのようだった。床を見ると、太ったトカゲが歩いている。
今までリゾートホテルというとビーチリゾートに泊まってきたが、これだけの緑のなかのリゾートに泊まったのは始めてだった。

朝食

Tシャツ、短パンにサンダルという軽装になって、朝食を食べにダイニング棟まで歩いて行く。熱帯だけれども、標高が高いから風はさわやかで涼しい。
部屋を出て階段を下りると道になっており、その向こう側の斜面にお供え物を置いておく小さな祭壇がある。そこに、お供え物を食べにサルの群れがやって来た。

朝食はダイニングで、ウェスタンスタイルのビュッフェとなっている。ルームサービスを頼むこともできる(頼まなかったけれど)。インドネシア料理も悪くないけれど、そればかり食べていると朝食のオムレツやパンにほっとするようになる。熱帯だけあって、果物は豊富にでてくる。

ホテルの探検とプール

午前中はホテルの中を探検して、その後、プールサイドでのんびりすることにした。
といっても、探検するというほど広くないので、すぐ一周できる。
ロビー棟の後ろにライブラリーがあり、ここにはテレビとインターネットに接続したPCと本が置いてある。宿泊者が置いて行ったらしい日本語の本も何冊かある。とりとめのないコレクションだった。今回の旅行ではPCを持ってこなかったこともあって、ライブラリーでもインターネットは覗かなかった。たまにはテレビも新聞もインターネットもなく、情報から遮断されるのも悪くないと思う。
ロビー棟の向かいに小さなお土産屋がある。バリの民芸品、服、アクセサリー、ホテルのスパのトリートメント用品、ちょっとした日用品が売っている。趣味のいいものが集められているけれど、ウブドの町に行けばもっと安く同じ物を買えそうな感じがするので、ここで買物をする必要はないかもしれない。
ロビー棟の脇の階段を下りると、プールがある。

このプールは、ホテルの自慢の一つのようで、そのデザインが賞を受けたという。谷に向かってプールが広がっており、手前から見るとプールの向こう側が崖の縁のように見える。
プールサイドは小さめで、ビーチチェアはあまり多くない。特に、アンブレラがあるビーチチェアを取ろうと思えば、少し早めに来た方がいい。風はさわやかでも、熱帯だから日差しは強く、直射日光を浴びていると消耗する。プールの水は冷たく、日に焼けた肌に気持ちよい。泳ぐ人は少なく、ゆったりと泳ぐことができる。最近は、週末、ゴルフスクールに通っているのでプールにあまり行っていなかった。
久しぶりに水の中に入って、その感覚の気持ちよさを再確認した。ゆっくりゆっくりクロールで泳ぐと、自由な気持ちになっていく。

スパでマッサージ

JTBのパッケージなのか、ホテルの標準的なサービスなのなわからないけれど、3泊以上宿泊するとマッサージかディナーかトレッキングのいずれか一つが無料になるサービスが付いていたので、スパでのマッサージを選んだ。
バリ風のマッサージは、オイルマッサージだった。全裸になり、紙のパンツを履き、ベッドにうつぶせになる。身体にオイルを塗り、手の付け根や親指に体重をかけて滑らせて、しっかりと揉みほぐして行く。
普段、PCを使った仕事をしているせいか、肩こりがひどい。肩と肩甲骨の脇がごりごりしているのが感じられる。仰向けになり、胸とお腹もマッサージされる。特に、お腹は胃をつかまれるようにしっかりと揉まれるため、マッサージの前に食事はしない方がいいかもしれない。
1時間のマッサージが終わると、シャーベットのサービスがあった。日本でクイックマッサージを受けると揉み返しがくることがあるけれど、バリのマッサージではそんなことはなかった。オイルマッサージがいいのかもしれない。
今回は無料だったけれど、1時間のマッサージでUS$52だから日本に比べればずいぶん安いと思う。ローカルのスパにも行ったけれど、そこは1時間のマッサージで120,000ルピア(1,200円ぐらい)だったから、さらに安い。

ウブド

Alila Ubudは、ウブドの町から自動車で15分ぐらいのところにある。ホテルから町までは無料のシャトルバスがでている。ホテル発が10:00、12:00、14:00、16:00、ウブド発(プリ・ルキサン美術館駐車場)が11:00、13:00、15:00、17:00である。ウブドでダンスを見たり夕食を食べたりすると、もうシャトルバスがないので自力でホテルまで帰ってくる必要がある。そのことは後述したい。
ウブドの町は、バリの文化を楽しむ観光の中心地となっている。1930年代にバリの芸術や芸能に惹かれたヨーロッパからの訪問者がウブドに住み、地元の芸術や芸能の刺激を与えるとともに、それを世界に広める活動をした。それほど大きな町ではなく、はじからはじまで20分もあれば歩けるぐらいのコンパクトな町に、王宮、市場、寺院、ショップ、カフェ、食堂、安宿が集まっている。地域住民が、大規模な開発を拒んでいるということで、町中には大きなホテルやショップはなく、バックパッカーたちが歩いている。町をちょっとはずれると水田が広がる田園景観を楽しむことができる。
シャトルバスを降りると、そこはアジア的混沌とした田舎町だった。20歳代の頃バックパッカーとしてアジアを旅行していたけれど、その頃の感覚がよみがえって来て懐かしかった。小さな町なので道路は狭く、町の中心の交差点のあたりは自動車とバイクでごった返している。歩道は荒れていて、ところどころ舗石がはがれているから、後ろから来るバイクに気をつけつつ、足下を見ながら歩かなければならない。しかし、基本的には治安はよいらしく、強盗やひったくりの心配はあまりないようだ。
まずは、プリ・サレン(王宮)の向かいにあるインフォメーションセンターに行き、バリ・ダンスの公演の情報を尋ねる。今夜は4つの公演が王宮や寺院、集会所で行われている。ケチャを見ようと思い、ケチャとファイヤーダンスがプログラムになっているダラムウブド寺院(Pura Dalem Ubud)でのKrama Desa Ubud Kajaという劇団の公演のチケットを買う。65,000ルピア(650円)で、19:30開演である。町中でもチケット売りがバリ・ダンスのチケットを売っている。値段はインフォメーション・センターと変わらないようだけれども、いくつかの公演を比較できるので、インフォメーション・センターで買うのがいいと思う。

ワルン(食堂)

チケットを買った後、まず、お腹を満たすためにワルン(食堂)に向かう。デワ・ワルン(Dewa Wrung)という食堂に行った。ここは、もともと屋台だった店が食堂になったバックパッカー御用達の店である。店の向かいの路地の奥に安宿があるらしく、バックパッカーたちが出入りしている。店には、西洋系の観光客が集まっている。
このワルンでは、たいていのメニューが10,000ルピア(約100円)という安さで、非常においしいというほどではないけれど、そこそこ食べられる。この店では、ミーゴレン(焼きそば)を食べたが、日本人にも違和感がない味だと思う。バリはローカルの物価が安く、倹約したバックパッカーの旅行をしようと思えば、1日1,000円ぐらいでやっていくことができるだろう。
高級な店には行かなかった(ウブドの町にはそれほど高級な店はないけれど)が、ウブド滞在中に行った店の中では、バタン・ワル(Kafe Batan Waru http://www.baligoodfood.com/Batanwaru.asp)がおいしかった。二人でビールを二杯ずつのみ、夕食を食べて330,000ルピア(3,300円)だった。これでも、バリの物価に慣れてしまうと少々贅沢をした気分になってしまう。Udang Lado Hijau(タイガーエビの炒め物)とSate Ayam Madura(甘いみそだれをかけた焼き鳥)にビンタン・ビールがおいしかった。

インターネット事情

ウブドの町では、インターネットへの接続環境はそれなりに整備されている。無料のWifiを提供しているカフェや宿もあり、PCでネットを見たりDVDを焼いたりするサービスを提供するインターネットカフェのような店もある。そのようなカフェでは、ノートPCやiPhoneをいじっている観光客が集まっている。
地元の人も携帯電話はほとんど持っているようで、若い人がBlackberryのような端末から入力している様子も見かけた。バリの物価の安さからすると、おそらく賃金も安いのだと思う。携帯電話の購入代、通信費は負担にならないのか心配になってしまう。

犬と猫

ウブドの町にも、田舎の村にも、ひもにつながれていない犬がたくさん歩いている。どうやら野良犬ではなく、飼われている犬らしい。吠えたりはせず、淡々と自分なりの生活を過ごしている感じである。ひとりでどこかに向かって歩いている犬、友だち犬といっしょに連れ立って歩いている犬、家や店の前で寝ている犬もいる。明日、ガイドをしてくれたバリ人の人に聞くと、家に5匹犬を飼っているという。普通の家では犬を飼っているらしい。犬も家族の一員という自覚を持って、自由に幸せそうに暮らしている。
犬に比べると猫を見かける機会は少なかった。あまり家に猫を飼っている様子はない。田んぼの脇で何匹かの猫を見かけた。野良猫のような様子で、ちょっとやせている猫が多かった。

犬が多い町と猫の多い町がある。雑司が谷は猫の町だけれども、バリのウブドは犬の町だった。

ケチャ公演

ケチャの公演があるダラムウブド寺院に向かっている途中、夕方になるとにわか雨が降って来た。今の時期のバリは乾季とのことだが、滞在中、早朝と夕方にざっと雨が降ることが多く、傘は常備した方がいいと思う。Cafe Lotus(http://www.lotus-restaurants.com/cafe-lotus-ubud)で雨宿りして、やっぱりビンタン・ビールを飲む。
晴れている時は寺院の中庭で上演するようだが、雨が降っているため屋根がある集会所で上演されることになった。明かりが消され、舞台の中央にかがり火がともされる。ケチャのコーラスをする男たち、100人ぐらいでてくる。かがり火を囲み、ケチャのかけ声が始まる。しばらくすると、踊り手が現れ、ラーマーヤナの物語を演じる。薪能の舞台で演じる歌舞伎のような雰囲気である。ケチャの音程は沖縄民謡に似ている。もともとのケチャは村の祭りであったようだが、上演されているケチャは、海外の観光客を意識して演出されているので、言葉がわからなくても飽きることなく楽しむことができる。
ケチャの公演が終わったときには、雨はやんでいた。

白タクでホテルへ

この時間になると、もう、ホテルへのシャトルバスはなくなっている。ウブドには、メーターが付いている公認のタクシーは走っていない。その代わりに、無認可の「白タク」がある。
町をちょっと歩いていると「Taxi」と声をかけられるから、白タクを探す手間はない。ホテルで、ウブドからホテルまでのタクシー料金の相場は、70,000ルピア(700円)と聞いていたので、それを基準に交渉すればよい。
このときは、"How much?"と尋ねると、ドライバーは"70,000"と答えた。吹っかけないのかと思ったけれど、一応"50,000"と値切ったが、再び"70,000"と答えてきた。まあ、相場だからいいかと思い、そのままそのドライバーに付いて行った。その後、やはりウブドからホテルに白タクに乗る機会があったが、そのときは、ドライバーが"60,000"と言って来た。これだったら値切ることもないなと思い、そのままその白タクに乗った。
ホテルでは、白タクでぼられることがあると聞いていたが、運がよかったのか吹っかけられることがなかった。
ホテルに戻り、ビンタン・ビールで乾杯しながら夕食を食べた。