戦国の作法

箱根旅行の温泉旅館で、藤木久志「戦国の作法」を読み終える。
藤木先生は、戦国時代の村や合戦の実態を、実際に残された古文書を読み込み、復元する作業を続けて、その成果が朝日選書から一連の著作として発表されている。
戦国時代といえば、武将たちの国盗り合戦という側面しか知らなかっが、村というレベルでどのような変化があり、戦国時代という厳しい時代を人々がどのように乗り切っていたのかということに目を向けさせてもらった。
この「戦国の作法」は、藤木先生の比較的初期の論文を集成した本である。始めて藤木先生の著作を読む人には、朝日選書の著作から選ぶことを勧めるが、藤木先生の著作をすでに何冊か読んだことのあるファンにとっては、先生の問題意識の萌芽がわかり興味深い。
藤木先生の用語を使うと「村の自立」ということになるが、領主の代官によって支配されていた荘園が、村の百姓たちによって自立的に統治されるようになる、そのためには、村の内部での犯罪の処理や村同士、村と領主の間のトラブル解決のための方法が慣習化する様子を、まさに村に残された古文書から復元していく。
若い頃の藤木先生の大きな構想とそれを埋めていく極めて地道な資料の読み込み作業をうかがい知ることができる。

戦国の作法 村の紛争解決 (講談社学術文庫)

戦国の作法 村の紛争解決 (講談社学術文庫)

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))

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城と隠物の戦国誌 (朝日選書)

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戦う村の民俗を行く (朝日選書)

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飢餓と戦争の戦国を行く (朝日選書)

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戦国の村を行く (朝日選書)

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