多様性を楽しむ

最近、lang-8 (http://goo.gl/fuyN) にハマってる。
lang-8は、外国語学習者のためのSNSである。日本語話者としての私は、日本語学習者が書く日本語を添削し、英語話者が私の英語を添削してくれる。
lang-8では、思いもよらなかったような人と知り合うことができる。定期的に私の記事を添削し、コメントをくれる人が三人いる。
一人目はセネガルの女の子。とても女の子っぽくて、アニメ好き。自分のことを「アフリカのセーラームーン」って呼んでいる。
二人目はイギリスの女の子。ツンデレだけど、すごくウィットがある。
二人はとても対照的だけど、それぞれにかわいい。
三人目は、ブラジルの青年。知的で好奇心にあふれている。彼とは同じ本をたくさん読んでいる。身近に小説の話をできる友だちはほとんどいないのに、彼とは本の話で盛り上がることができる。地球の裏側にそんな友だちができ、インターネットで話し合えるなんて、すごいことだと思う。
彼らはとてもカラフルで、世界は広く、いろいろな人がいるということを実感させてくれる。夏目漱石は「三四郎」の中で、広田先生にこんなことを言わせている。


「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中の方が広いでしょう」と云った。
この言葉は大好きだけど、私の頭の中よりは、インターネットの世界の方が確実に広い。
福島第一原子力発電所の事故に関する記者会見を見ていると、同じ作業着を来た中年のアジア系の男だけが並んでいることに気がつく。奇妙な眺めである。世界にはさまざまな人びとがいるのに、なぜ、東京電力にはこんなに同じような人しかいないのだろうか。
フランスの原子力発電会社アレバ社のCEOが事故への対処の支援のために来日した。アレバ社のCEOは、エネルギッシュなビジネスウーマンで、東京電力の社長が疲れた初老の男だということと対照的だった。
海外の新聞を読んでいると、被災地の人びとが秩序を守っていることをほんとうに賞賛している。その一方、東京電力は悪評紛々で、日本に住んでいるひとと同様、彼らをまったく信用していない。
東京電力は、国際感覚と被災者への配慮に欠けているように見える。その理由のひとつは、彼らに多様性がないことだと思う。東京電力には似たような人しかいないから、似たような考え方しかできない。
私はインターネットの世界の多様性、その世界の人びとの違いをほんとうに楽しんでいる。刺激的で、自分をクリエティブにしてくれる。
日本の社会や会社も多様性を必要としている。
三四郎 (岩波文庫)

三四郎 (岩波文庫)