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秋山監督とセイバーメトリックス

今年の日本シリーズは、ソフトバンク・ホークスが4勝3敗で中日ドラゴンズに勝った。
これはどの人も指摘していると思うけれど、飛ばない(中村剛也のみ除く)統一球の採用のためか、投手優位のシリーズだった。特に、中日ドラゴンズはとにかく打てなかった。チャンスらしいチャンスといえば、第四戦の6回、結局森福に無失点で抑えられたノーアウト満塁ぐらいだった。第1戦、第2戦と連勝したけれども、ホークスがチャンスでもう一本タイムリーヒットが出ていれば逆転できた試合だったと思う。
この打力で中日はよくセントラルリーグで優勝できたと思うが、優勝争いをしていたスワローズも、小川監督の采配には注目しているが地力のあるチームではない。今シーズンもセパの実力差を感じたシリーズだった。
今回の日本シリーズで印象的だったのは、第7戦9回表のホークスの投手起用だった。8回からファルケンボーグをリリーフに送り、その回は三者連続三振でまったく打たれる様子はなかった。もう、今シーズン投げる必要のない日本シリーズの最終戦で、2イニングスを投げさせるのは当然で、9回もファルケンボーグが続投。しかし、先頭打者井端の打球が右肘にあたり急遽交代。次打者が左バッターの森野ということもあり、今シリーズ好調の左のセットアッパー森福を投入。ここまでは当然の流れである。
今シーズンの成績を見ても、ファルケンボーグ(50回2/3、防御率1.42)、森福(55回2/3、防御率1.13)、馬原(32回1/3、防御率3.06)だったから、この起用は当然である。森野を打ち取り、次の右の長距離バッターのブランコに対して左の森福が続投。これは最後まで森福で行くと思っていた。
そして、ツーアウト一塁、バッターはやはり右の長距離バッターの和田、そして次のバッターも右で一発のある平田という場面で、秋山監督が投手交代コールした。もしかしたら、クローザーとしてのメンツを立てて馬原を最後に起用するという「温情采配」なのか、と嫌な気がしたが、予想を裏切る摂津の投入だった。
普通の投手起用のセオリーだったら、もし右のブランコに対して、いちばん防御率のよい森福を続投させたのであれば、和田にも森福に投げさせるだろうし、逆に、和田で交代させるのであれば、ブランコから摂津を投入するのが普通である。そこをブランコまで森福に投げさせて、和田から摂津を出したのは、何らかの根拠があったからではないだろうか。
ホークスがどの程度セイバーメトリクス(野球統計学)を導入しているかわからないけれど、交流戦のデータでブランコは森福との相性が悪く、一方、和田は森福を打っているというデータがあったのかもしれない。セイバーメトリクスでは、単純に右バッターに右投手、左バッターに左投手を起用するというセオリーが否定されているから、もし、そのようなデータがあったとしたら摂津の起用は納得できる。また、そうだとすれば、ホークスは緻密な野球をしていると思う。
英語版ウェブログに"The "Theory" of Relievers"(http://goo.gl/QQAey)として、セットアッパーとクローザーのどちらにいいピッチャーを使うべきかという疑問を書いた。図らずも、今回のホークスとドラゴンズはクローザーよりはセットアッパーの方がよりよいピッチャーを起用している。
メジャーリーグ・ベースボールでは、中四日、100球程度で先発ピッチャーをローテーションしているが、セイバーメトリクス上、この起用方法が最適という結論が得られているのだろうか。例えば、まったく白紙から考えて、基本的には各ピッチャーに3回ずつ投げるということにして、中二日のローテーションを組むという方法はありえないだろうか。