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Twitterにはファーガソン事件、Facebookにはアイスバケットチャレンジが並ぶ

中絶合法化が犯罪率を減らした?:「ヤバい経済学」と「エビデンス・ベースド・アプローチ」

「ヤバい経済学」は、これまであまり「エビデンス・ベースド・アプローチ」(実験や調査によるデータの定量的分析に基づく手法)が適用されてこなかったさまざまな社会的事象に対して、定量的な分析、実証をすることによって、通説、常識を覆し、思いもよらない(そして興味深い)原因を提示している。

本書を特に有名にしたのは、アメリカにおける犯罪率の低下の要因として、中絶合法化が進んだことにより犯罪者となるリスクが高い子供の出産が減ったことを統計的に示したことである(しばらく前の大相撲の「八百長」に関する定量的分析もある)。

この本で提示されている結論、仮説のすべてが正しいとは思わないけれど、データに基づいた分析だから追試、検証をすることができる。それまでの「専門家」による定量的分析に基づかない「理論」「説明」は、検証することができないから、「ヤバい経済学」の仮説は、はるかに開かれたものだ。

そして、なによりも対象とする社会的事象を選択するセンスがすばらしく、この本を魅力的なものにしている。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

 

Podcast版「ヤバい経済学」:"Freakonomics Radio"

 この本は、経済学者であるスティーブン・ダブナーとノンフィクション・ライターのスティーブン・レヴィットの共著になっている。このうち、スティーブン・レヴィットがPodcast版「ヤバい経済学」である"Freakonomics Radio"を制作している。週1回更新されるこのPodcastも、毎回テーマの設定がすばらしく、毎回心待ちにしている。

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Twitterにはファーガソン事件、Facebookにはアイスバケットチャレンジが並ぶ:インターネットと自由

しばらく前のFreakonomics Radioで、インターネットと自由をテーマとする回があり、その冒頭で興味深いエピソードが紹介されていた。

ある日、自分のTwitterのタイムラインを見ると、ファーガソン事件に対する抗議行動の話題でうめつくされていて、これは大事件だと驚いたという。しかし、Facebookのタイムラインではファーガソン事件の話題はまったくなく、アイスバケットチャレンジ(流行った時期がありましたね)の投稿が並んでいた。これは、Facebookファーガソン事件の投稿を「検閲」して削除していた訳ではなく、Facebookは過去のアクセスデータを解析して閲覧時間を最大化するようにタイムラインを調整していたためだからという。

この話を聴いて、さまざまな感想が思い浮かんだ。

単純に文字通り時系列にタイムラインを表示するTwitterは、利用者の立場から見ると存在意義があると思うけれど、企業としてみればFacebookに完敗しているのは当然だよなと思う。

Facebookは非常に洗練した方法でタイムラインを調整して、いわば「見たいものを見せている」いるのだろう。だから、Facebookだけを見ていると、情報が偏ってしまう。もっともテレビも視聴率を指標にして「見たいものを見せる」競争をしているのだから、同じように情報が偏っている。書店も棚の量には限界があるから、売れる本や雑誌、つまりは「見せたいものを見せる」競争をしている。

インターネットによって広く安く情報を集めることができるようになったけれど、かなり意図的にさまざまなメディアで情報を探すようにしないと、「自分の見たいもの」だけの狭い世界に閉じ込められてしまうのだろうと思う。政府がある一定の価値観を押し付けるための「検閲」ではないけれど、「自分の見たいもの」の世界に閉じ込められるのもやはり自由ではない。

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