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ポートランドあれこれ

ポートランドあれこれ

先日はポートランドの食と酒について書いたけれど、今回はそれ以外のあれこれについて書いてみようと思う。

yagian.hatenablog.com

 ポートランドまでのエアライン

デルタ航空が、成田発ポートランド(PDX)着の直行便を運行している。今回のポートランド旅行では、直行便の値段が高く混雑していたので、バンクーバーでトランジットするエアカナダを利用した。

城北地区に住んでいると、スカイライナーが便利になったので成田に行くことにストレスはない。むしろ羽田に行くほうがスーツケースを引きずって乗り換えをするのが面倒である。

バンクーバーからポートランドまではボンバルディアのプロペラ機に約1時間。晴れていたので、マウント・レーニアやマウント・フッドを眺めることができ、ほとんど遊覧飛行だった。

トラムと散歩

空港から市内へトラムで移動することができる。行きは街の様子がよくわからなかったこともあってタクシーでホテルまで行った。空港へ行くトラムの停留所はホテルから2ブロックほどだったので、帰りにはトラムに乗って空港まで行った。

トラムの停留所にはチケットの自動販売機があり、2時間半自由に乗り降りできるチケットと1日券を売っている。検札を見かけたことはないけれど、おそらくたまにチェックをしているのだと思う。低床式のトラムに乗り降りするには階段やエスカレーターに乗る必要がなくて、荷物を持っていても移動が楽でいい。

ポートランド中心市街地はさほど広くない。食事をするのもだいたいホテルから徒歩で15分ぐらいのエリアに収まっている。夕涼みの散歩を兼ねて歩くのも気持ちがいいし、トラムでひと駅かふた駅乗ることもあった。夕方、ホテルを出てビールを飲みに行き、ホテルに帰ってくるには2時間半のチケットがちょうどよかった。

アメリカに行くといつも感じるのだが、ドライバーの歩行者、自転車優先の意識が徹底していて、きちんと一時停止をしてくれるので歩いて危険を感じることがなかった。レンタカーで市内を走っているときは、ほとんど徐行だった。

ウィラメット川沿いでジョギング

ポートランドは、オレゴン州ワシントン州の州境を流れるコロンビア川の支流のウィラメット川を挟んで発展した町である。

 泊まったホテルはウィラメット川沿いにあったので、朝、川沿いを周回するジョギングコースを走っていた。自転車とジョガー専用の道になっていて、自動車を気にする必要がなく、横断歩道もない平坦なコースだから、ジョギングには最適だった。8月でも朝夕はかなり涼しくなるし、川面と橋を眺めながら走るのは気持ちがいい。

www.mapmyrun.com

 オレゴン歴史協会(Oregon Historical Society)

旅行したとき、なるべくその土地の歴史や文化に関する博物館に行くようにしている。ポートランドにはオレゴン歴史協会の博物館があり、展示は非常に充実していた。

今回のポートランド旅行は、クラフトビールを飲みまくる、ということが大きな目的だったけれど、それだけではなくアメリカの西部開拓史の現場を見てみるという目的もあった。

アメリカが西部開拓を進めた最大の原動力はゴールドラッシュだったけれど、それ以前は捕鯨と毛皮猟が西向かって進む動機となっていた。キャプテン・クックによるアメリカ太平洋岸を探検によって、ネイティブとの交易で得たラッコの毛皮が中国の広東で高値で売れることがわかった。その後、毛皮交易をめぐって、イギリス、アメリカ、ロシア、スペインの勢力がアメリカ太平洋岸で角逐することになる。

ルイス&クラークの探検隊がアメリカ人としてはじめて陸路を通って太平洋岸に到達する。その時、ロッキー山脈の分水嶺を越えた後、コロンビア川を下り、現在のオレゴン州を通る。そして、ゴールドラッシュ以降、西海岸へ移住するためオレゴン・トレイルと呼ばれる道を「幌馬車」で移動した。

このオレゴン歴史協会の博物館では、そういった歴史をたどり、「実物」たとえば、毛皮猟をしていたネイティブのカヌーやオレゴン・トレイルの旅をした「幌馬車」の実物やそれに積み込まれた道具を見ることができた。オレゴン・トレイルの歴史を本で読んではいたが、実物を見ることで、頭のなかのモノクロの映像にカラフルな色付けができたように思う。

www.ohs.org

コロンビア渓谷(Columbia River Gorge)トレッキング

ポートランドからレンタカーでコロンビア渓谷まで行き、トレッキングしてきた。

コロンビア川は、ロッキー山脈を越える太平洋岸に向けた主要な交通路になっている。コロンビア川に沿って、かつてはオレゴン・トレイルが通り、その後蒸気船が行き交い、現在ではインター・ステイト・ハイウェイ84号線が走っている。また、約100年前に自動車道としてはじめて開通したHistoric Columbia River Highwayがあり、今でも走ることができる。

columbiariverhighway.com

 その中ほどに、コロンビア渓谷を見渡せる場所にVista Houseという石造りの展望台がある。景色も雄大で、その展望台そのものも歴史的建造物になっている。

 コロンビア渓谷には、コロンビア川にむかって支流が注ぎ込んでいる。それらの多くは滝になっている。体力にあわせてさまざまなトレイルが整備されている。自動車を停めて滝壺まで数分歩いて写真を撮って帰ってくることもできるし、本格的な登山もできる。

トレッキングになれていないこともあり、今回はマルトノマ滝から初心者向きの3時間ほどのトレッキングをした。川はかなりの急流で、渓流に沿ったトレイルはかなり厳しい上り道だった。滝壺のすぐそばに近づくことができ、飛沫を浴びると涼しくて気持ちがよかった。

Columbia River Gorge Hikes - Hiking in Portland, Oregon and Washington

太平洋へ:アストリアからエコラ州立公園

翌日、レンタカーでコロンビア川を2時間ほど下って太平洋岸まで行ってみた。ポートランドからコロンビア渓谷は晴れていたが、太平洋岸は曇っており、薄暗く、冷え冷えとしていた。

コロンビア川の河口にアストリアという町がある。アメリカ毛皮会社を設立したジェイコブ・アスターによって交易所が作られ、町の名前はアスターの名前をとって付けられた。町はずれの丘の上から町、河口、太平洋が一望できる。 ここ数年、シンガポール、マラッカ、香港、マカオ、神戸と帆船時代に作られた交易港を旅行しているが、どこも同じような立地である。湾と島に囲まれ、平地は狭く、風をさえぎり見張りができる山と丘がある。このアスターも同じような地形だった。

 アストリアにはオレゴン海事博物館(Oregon Maritime Museum)があり、キャプテン・クックをはじめとする太平洋岸の探検、毛皮交易、コロンビア川の蒸気船、コロンビア川河口での海難事故、漁業の歴史、そして、311で日本から流れ着いた漁船などが展示されている。この博物館も想像以上に充実していた。

Oregon Maritime Museum

そのあと、太平洋岸にあるエコラ州立公園から太平洋を眺めた。雲におおわれ、色がない寒々とした水墨画のような景色だった。