時間の流れる方向

中国語検定(4級)講習会に参加した

大学時代に第二外国語で勉強をした中国語を久しぶりに勉強している。

自分に刺激を与えようと、中国語検定を受験することにした。といっても、独学なので自分のレベルがよくわからない。中国語検定協会のウェブサイトで、中国語検定の講習会を発見し、とりあえず中国語検定4級の講習会に参加してみることにした。

非常に有益だった。前回の検定の問題を一問ごと解説してくれる。4級は、今の自分の実力だと確実に合格できるとは言えないが、準備をすれば合格する可能性もある、というレベルだということがわかったし、試験対策のポイントも理解できた。次回、11月末に中国語検定の試験があるので、さっそく申し込んだ。

www.chuken.gr.jp

中国語での時間の流れの表現

講習会のなかで、時間の流れに関する表現の解説があった。

「先月ー今月ー来月」を「上个月-这个月-下个月」と表現する。この場合、時間は上から下へ流れていく。同じように「先週ー今週ー来週」は、「上个星期-这个星期-下个星期」という。以前、「上个月」って先月か来月か区別がついていなかったが、中国語では「時間は過去が上で、未来が下にある」と覚えればよい。

しかし、別の時間の流れの表現もある。「一昨日ー昨日ー今日ー明日ー明後日」は「前天-昨天-今天-明天-后天」と表現する。一昨日と明後日の部分を比較すると、「過去が前にあり、未来が後ろ」にある。

また、「朝ー夜」を「早上-晚上」、「朝食ー昼食ー夕食」を「早饭-午饭-晚饭」と表現する。この場合は、時間は「過去は早く、未来は遅い」という方向性である。

日本の中世の時間の流れ

この説明を聞きながら、世界の辺境、特に最近はソマリアのルポをしている高野秀行と、日本中世の研究者清水克行が、ソマリアと日本中世の共通点について語っている対談「世界の辺境とハードボイルド室町時代」を思い出していた。

この本の中で、時間の流れる方向に関する話題があった。現代では、未来は自分の前にあり、時間を前向きに前進して、自分の後ろに過去が流れ去っていく、という感覚が一般的だ。しかし、中世では、時間を後向きに進んでいき、未来が背後に、過去が前にある、という時間感覚もあったという。

中国語で「過去は前、未来は後ろ」という向きで表現する場合があるが、確かにこれは時間を後ろ向きに進んでいることになる。日本でも「あとで」というような表現があるが、これは未来を「後ろ」と捉えてるのだろう。

世界の辺境とハードボイルド室町時代

世界の辺境とハードボイルド室町時代

 

時間感覚と空間感覚の恣意的な置き換え

論理的には、時間の流れを空間に置き換えて表現するとき、どの方向を使ってもよいのだろう。前から後ろに流れてもよいし、後ろから前へ流れてもいい。上から下でもよいし、下から上でもよい。右から左でも、左から右でもよい。

私が「上个星期」が先週か来週かがわからなかったのは、中国語での時間感覚と空間感覚の置き換え方が普遍的なものではなく、中国語における恣意的なものだったからということだろう。

英語の"past-future"には、前後、上下の関係はなさそうだ。pastの語源には「過ぎ去る」という意味があり、futureの語源には「growやbecome」という意味があるらしい。

今日のエントリーは、ちょっと興味を惹かれたことのメモで、これ以上、特に結論はない。