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Airbnbのストーリー:地に足がついた展開

朝はポッドキャストを聞き、夜は音楽を聴く

朝の通勤の時は、まだ元気があるので、たいてい英語のポッドキャストを聞いている。

夜帰宅する時は、リラックスしたいので、たいていGoogle Play Musicで音楽を聴いている。

iPodでは、ニュースを聞くこともあるし、まとまったインタビューを聞くこともある。最近、"The 25 Essential Podcasts of 2016"という記事を見つけ、そのなかで紹介されているNPRが提供する"How I Built This"というポッドキャストを試しに聞いてみたところ、非常におもしろかった。

www.esquire.com

"How I Built This" by NPR

このポッドキャストは、なにか新しいサービス、事業を起こした起業家などにその経緯をインタビューするものらしい。

いちばん新しいエピソードはAirbnb。その他、InstagramやRadio Oneなどの創設者にインタビューをしている。そのうち本になりそうなテーマをいちはやく取り上げている。

www.npr.org

Airbnbのきっかけ

Airbnbの創設者Joe Gebbiaは、デザイン系の出身で、一時期はブックデザイナーとして働いていたそうで、ITの専門家でも、ホテルや旅行業界に携わっていたわけではないらしい。

Airbnbのアイデアを得たのは、実際に自分の部屋に直接の知り合いではない人を泊めることになったことがきっかけだったという。最初はいろいろ不安になったけれど、実際にやってみると、悪い経験ではなかったそうだ。

その後、サンフランシスコでデザイン系のコンベンションがあり、ホテルが満室になったというニュースを聞いた。そこで、ホテルに泊まれない人に部屋を提供することを考え、デザイン系のウェブサイトに部屋に泊める(80ドルで)広告をだしたところ、すぐに申し込みがあったという。

Airbnbのサービス立ち上げ

SXSWが開催される時期も、いつもホテルが満室になる。そこで、Airbnbの原型になるサービスとして、部屋の貸し借りを仲介するウェブサイトを立ち上げた。これが、Airbnbのサービスの始まりである。

次に、2008年民主党大会がデンバーであり、もともとホテルのキャパシティが少なく、バラク・オバマの演説を聞くために多くの人が集まり、ホテルが満室になるのが確実で、キャンプする人もでる見込みだった。このタイミングで、クレジットカードでの決済サービスを付け加えたAirbnbのサービスをローンチした。このときは、100名程度が利用した。

この実績を踏まえ、投資を得る最適なタイミングと判断して、投資家にコンタクトをする。10本のメール、5件のコーヒーミーティングがあったけれど、投資に至ったのはゼロ件だったという。知らない人に部屋を貸す人がいるのか、という疑問を乗り越えられなかったようだ。

投資を得られず、クレジットカードからの借金でやりくりをして、 そしてサイドビジネスで大統領選にちなんだ"Obama O's"と"Captain McCain"と書かれたカードの入ったシリアルの企画販売をはじめて資金繰りをなんとかしのいでいたという。

www.businessinsider.com

Airbnbの飛躍、ゲーム・チェンジ

その後、ベンチャーキャピタルのY Combinatorの支援を受けられるようになった。これがゲーム・チェンジになったという。

Y Combinatorはスタートアップの指導に力を入れている。Y Combinatorに「マーケットはどこにある、すぐにそこに行け」といわれ、当時もっともAirbnbの登録者が多かったニューヨークに飛んだ。

そこで、Airbnbに掲載されている貸主の部屋の写真が見栄えがしないことに気が付き、彼はデザイン系の学校で写真のクラスを取ったこともあり、部屋の写真を撮るサービスをすることにした。

カメラを持って貸主の部屋を訪問した。彼らが撮った写真のおかげで「貸主が、これが自分の部屋?」というぐらいにサイト上見栄えが劇的に改善した。また、この時、貸主とじっくりと話ができて、彼らの立場をよく理解することができたという。

部屋の写真の改善、貸主の意見を取り入れたサイトの改善をすると、すぐに売上が2倍に増加した。世界からニューヨークを訪れてAirbnbを利用した人が、それぞれの都市に戻って今度は貸主としてAirbnbを利用するようになった。

それ以降は投資のオファーも増え、順調に成長している。

地に足がついた展開

Airbnbのストーリーを見ていると、地に足がついた展開をしている、と思う。

Airbnbというと「シェアリングエコノミー」の旗手、のような扱いをされている。しかし、実際のストーリーは、ハイテクを使ったふわふわしたコンセプトで投資を得ているのではなく、自分が実際に体験した課題とその解決策を一歩一歩拡大していることがわかる。

世の中に広がるサービスは、やはり、どのようなテクノロジーを使っているか、ではなく、利用者にとって切実な課題が解決される、利便性が高まる、非常に楽しい、といったところが重要なのだと思う。Y Combinatorの「マーケットはどこにある、すぐそこに行け」というアドバイスによってゲーム・チェンジが起きたことも示唆的である。

地に足がついた展開だなと思った。