江戸五色不動、江戸三大鬼子母神、江戸三十三観音

御朱印帳の流行の功罪

年始になると初詣で寺社は混雑するので、年末にご朱印をいただくためにいくつかのお寺を巡ってきた。

御朱印帳を持ってお寺に参詣するようになってもう8年になる(こういうとき、ブログを書いていると過去の記録がすぐ検索できて便利だ)。そのころはいろいろと辛いことがあったので、参拝をしてご朱印をいただくことにはそれなりの思い入れがある。

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そのころに比べると寺社で御朱印帳を持っている人はずいぶん増えた。ご朱印をいただくために行列ができることもある。この流行に対して批判的な意見もあるようだ。御朱印帳は、納経帳とも呼ばれ、ご朱印は納経した証としていただくものらしい。今では、ろくに参拝もせずにスタンプラリーのようにご朱印をいただく人もいるようだし、システマティックに対応するだけの人を用意できない小さな寺社では負担になることもあるようだ。

それでも私自身はこの流行に肯定的である。別に信心なく寺社に観光目的で訪れることは御朱印帳を持たなくてもふつうにある。ご朱印をいただくためにインターホンを押してお寺の人にお願いするのは緊張して、自分の信心を呼び覚ますきっかけになるし、コミュニケーションをする機会にもなる。

小さなお寺の場合、対応できないときは対応しない、ということでよいのではないだろうか。もし、ご朱印をいただけなかったら、また別の機会に参拝すればよいのだから。

都電(東京さくらトラム)と目黄不動(永久寺)

今回は、まず、三ノ輪にある目黄不動(永久寺)に参拝した。

自宅の近くにある目白不動からはじめて五色不動を巡っている。目黄不動江戸川区平井最勝寺と三ノ輪の永久寺の二つある。この三ノ輪永久寺の目黄不動に行けば、最勝寺は残っているけれど、いちおう五色がそろうことになる。

五色不動 - Wikipedia

三ノ輪に行くために、地元の東池袋四丁目から都電荒川線に乗っていった。

東京都交通局は、都電荒川線に「東京さくらトラム」という愛称を付けているようだが、きっと定着しないんだろうなぁと思う。名前が長すぎるし、なんか、そんな風に呼ぶには照れくさいし。まあ、都電は都電でよいのではないだろうか。

www.kotsu.metro.tokyo.jp

目黄不動は観光化されていない、地域に馴染んだお寺だった。ご朱印を待っている間、お墓参りをする老人が火の付いたお線香を買っていった。

浅草寺と下町と国際化

 三ノ輪から吉原を通り抜けて浅草寺まで歩いていった。

もう年末だったから一葉記念館がお休みだったのはちょっと残念だった。ずいぶん立派な建物だった。30歳代の10年間をかけて日本近代文学の代表作を時代順に読んでいった時期がある。樋口一葉は、その当時、女流作家が少なかったため注目を集めたということもあるのだろうけれど、現代から同時代の小説を読み比べると突出しているという印象がある。私は「にごりえ」が好きだ。

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 

下町は関東大震災東京大空襲で二回燃えてしまったため、現在の町並みは思いのほかすっきりしていて、下町情緒を見つけることは難しい。むしろ、震災の被害を受けていない根津界隈や、私が今住んでいる雑司が谷のあたりの方が、ごちゃごちゃしていて「下町」のイメージに合致しているかもしれない。とはいえ、このあたりの町の「古民家」は、古くても大正から昭和初期に建てられたものだから、それほど古いとはいえないけれど。

浅草寺は年末も人でいっぱいだった。とはいえ、初詣の時期だったら身動きができなかっただろうから、今日来て正解だったと思う。中国の年末年始の連休は春節の時期だから、今浅草寺に来ている観光客は中国人ではないようだ。話している言葉がよく聞き取れないけれど、タイ人やベトナム人が多いように思う。

浅草寺では御朱印帳も購入して、江戸三十三観音巡礼をはじめた。外国人でご朱印をいただいている人も多い。たしかに、私が外国人として東京に駐在していたたら、御朱印帳を持って東京の寺社を巡っているかもしれない。 

江戸三十三箇所 - Wikipedia

恐れ入谷の鬼子母神

浅草から入谷まで歩き、入谷鬼子母神ご朱印をいただいた。

雑司が谷にある鬼子母神には、いつもお世話になっている。前回書いたエントリーで、京都の東寺が居心地がよいと書いた。東寺の金堂や講堂は心が落ち着く空間である。しかし、あまりに立派すぎて気軽に悩み事を打ち明けられる雰囲気ではないことも確かである。東京に多くある江戸時代に作られたお不動様や鬼子母神の仏像は、奈良時代平安時代に作られた「芸術的な」仏像とは違って、わかりやすく炎に包まれていたり、恐ろしげなお顔をしていたりして、ちょっと近づきやすい感じがする。

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五色不動や三大鬼子母神をお参りすることは、信心深くはない自分だけど、 ちょっとホッとした気持ちになれる。

江戸三大鬼子母神を歩く

上野の山のプチ京都

今日のお参りは、上野の山にある清水観音堂で終わりにする。

江戸時代、上野の山は比叡山に、不忍池が琵琶湖に見立てられていたらしい。清水観音堂は、京都の清水寺という役回りで、上野の山の斜面に小さめの「清水の舞台」が設えてあった。

五色不動もあと平井の目黄不動が残っているし、三大鬼子母神市川市にもう一つある。江戸三十三観音はまだはじめたばかり。これからもゆるゆると巡礼をしていこうと思う。