独学の方法

学習はすべて独学

野口悠紀雄が「独学」について書いていた。この記事は共感することが多い。

president.jp

「勉強をする」というと「学校に通って教えてもらう」ということを連想する人が思いのほか多い。何かを学ぶための手段はさまざまあり、その中の一つに「学校に通って教えてもらう」というものもあるが、最終的には自分自身が習得するプロセスがあって、そこは「独学」になると考えている。だから、あらゆる学習は最終的には独学に帰着する。

本の学校教育についてさまざまな批判がある。特に、英語教育に対する批判が多い。しかし、私はそのような批判を読むたびに違和感を感じる。バイリンガルではなく第二言語として英語を習得し、実用的に使っている人であればほぼ共通の感覚だと思うが、教室の中での学習だけでは実用的な語学の習得はできないし、だからといって教室での学習が語学の習得に役立たないということもない。

もちろん、日本の学校教育における英語教育があらゆる意味で理想的だとは思わない。しかし、英語を習得するには、教室の外での「独学」が必須である一方で、教室の中の学習は「独学」をする上でほぼ確実に役立つ。日本での英語習得が進まないのは、学校教育の問題と言うよりは、英語学習の「独学」する動機づけが乏しいところに主要な原因があると思う。

簿記2級の学習方法

今さらながら、財務諸表が読めるようになりたいと思い、簿記3級、簿記2級を受験することで、そのプロセスで会計を学習した。

独学のパターンをいろいろ試してみたいと思い、簿記3級は参考書と問題集を使って完全な独学、簿記2級はフォーサイトという会社の通信教育を使ってみた。それぞれ合格できたから、効果があったとは言える。

www.foresight.jp

このフォーサイトの通信教育は、教科書、講義の動画、過去問を編集した問題集、クイズができるアプリから構成されている。前半の期間は教科書を読みながら講義の動画を見て、後半の期間は問題集をひたすら解いていた。今風の通信教育なので、講義の動画はDVDも送られてくるが、スマホでウェブ上の動画を見ることができるし、教科書、問題集も電子ファイルでも提供される。

簿記の場合、かなり定型的な知識とそれの応用が主体なためか、あまりインタラクティブな要素はない。問題集の採点は、正答と解説を読めば自分できるため、採点サービスは提供されていない。また、私は利用しなかったが講師へ質問できるサービスはあった。

簿記3級の完全独学と比較すると、後半の問題集を解く部分はあまり差がなかったように思う。前半の講義の動画は、完全独学でテキストを読んでいたときと比較すると、会計の体系の全体フレームワークの理解という意味で優れていたように思う。完全独学では、細部の理解はできてもそもそも会計の全体像とはなにか、という部分の理解が進まなかった。その点が、完全独学と比較したときの通信教育のメリットと思った。

教師ではなく、コーチがほしい

独学を主体に考えると、細かい知識の習得の部分は本を読めばいいように思うし、自分の習得度を計測するには問題集を解くことで把握できる。大きな枠組み、メタな部分を習得するところで、人の介在が必要のように感じる。

あと、独学をしていてほしいと思うのは、知識を教えてくれる教師ではなく、独学の方法自体を自分の能力、状態をみつつコーチしてくれる人だ。自分の習得状況、得意不得意などを自分で計測する方法はなくはないけれど、コーチしてもらえた方がよいと感じることも多い。

最近、ライザップが英語学習に参入したことが契機になったのか、いわゆる英会話学校ではなく、英語学習のコーチングを標榜するサービスが続々と登場しているようだ。潜在的に教師ではなく、コーチを欲していた独学者が多かったのだろうなと感じる。