2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

懐疑主義と主観主義

しばらく前、近代化と国学の関係が気になると書いた(id:yagian:20060315:1142423286)。その参考になると思い、加藤周一「日本文学史序説」(ちくま学芸文庫 isbn:4480084878)を読み返している。国学のことを書いた部分ではなく違ったところに、印象に残る文章…

ちゃんちゃらおかしい

ここのところ何度も繰り返して書いているけれど、大学では、文化人類学をかじっていた。文化人類学をかじると、文化相対主義が刷り込まれる。文化相対主義が刷り込まれていると、素朴に日本文化や伝統を礼賛している人を見ると、まったくもって、ちゃんちゃ…

盛況

最近、いくつかのウェブサイト、ウェブログからリンクを張ってもらったおかげで、このウェブログを見にくる人が急に増えた。それを考えると、せっせと更新をしようという気になる。 しかし、今、書きたいことは、かなり個人的にこだわっていることだから、は…

本質と変化

どうも最近、できの悪い哲学めいた日記が続いている。 結城さんに、以前書いた日記(http://d.hatena.ne.jp/yagian/20060323/1143098847)を敷衍して(http://www.hyuki.com/d/200603.html#i20060324)してもらった。そこで、伝統と変化の関係について、このよう…

洞察、確信、共感

おとといの日記(id:yagian:20060325:1143275676)で、エドマンド・リーチの「社会人類学案内」(岩波現代ライブラリー ISBN:4002600653)を取りあげた。 学生の頃、文化人類学の教室に籍を置いていた。当時は、落ちこぼれ学生だったし、卒業してからずいぶん…

かのように

しばらく前の記事だが、「夏のひこうき雲」の「正しい信仰とは盲信を強要するものでも理性を制止するものでもない」(id:summercontrail:20060313:Bultmann)を読んで、森鴎外「かのように」(「阿部一族・舞姫」(新潮文庫 ISBN:4101020043)所収)を思い出した…

亀田兄弟の残酷な楽しみ方

昨日、長谷川対ウィラポンのタイトルマッチをテレビで見た。 長谷川はスピードがあり、パンチも多彩で、これこそがボクシングだったのだと見直した。ウィラポンは全盛期は過ぎているのだろうけれど、真っ向勝負を挑み、それが試合を盛り上げていた。 こうい…

気迫

ここ数場所、大相撲がおもしろい。 初場所、両国国技館に相撲を見に行き、熱戦続きで、じつに満足した。最近行った格闘技の興行のなかでは、だんとつのおもしろさだった。 朝青龍が他の力士を圧倒していた時期が終わり、上位の力士は本気で優勝をねらって相…

科学ではない

しばらく前、「中村正三郎のホットコーナー」(http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/02/25/267596)や「Bewaad Institute @Kasumigaseki」 (http://bewaad.com/20060302.html)というウェブサイトで、経済学は科学であるのか、というテーマについて、議論されてい…

ウグイス、サクラ

朝、布団のなかで、ウグイスの鳴き声を聴いた。 神田川沿いを歩くと、サクラは三分咲きになっていた。

天皇家をめぐる伝統と変化

皇室典範の改正をめぐる議論を見ていると、男子男系による皇位の継承を守るべきと主張している人たちも、天皇家の伝統について、さほど深い考察があるようには見えない。 天皇が天皇であるのは、天皇家の伝統が大きな意味を持っていることは間違いない。天皇…

伝統とは

「伝統」とは何か、ということに、ずっと興味を持っているが、なかなかすっきりした答えを出すことができずにいる。 「日本の伝統」の重要性を主張する人に限って、伝統とは何かという問題を深く考えず、自分の都合のよいように伝統ということばを利用するこ…

オリンピック、ワールドカップ、WBC

オリンピックは、世界で最高のアスリートを集めた最高の大会であるがゆえに、参加する選手たちが全力を出す。そういう観点から見れば、今のオリンピックには不要な競技がずいぶんあるように思う。 サッカー、テニス、そして、野球は、それぞれの競技のなかで…

WBC

日曜日と今日とようやくWBCのゲームをリアルタイムで見ることができた。 以前は、野球の国別対抗戦には懐疑的だったけれど、アテネ・オリンピックを見て以来、考えを改めた(id:yagian:20040822)。WBCも、いろいろと問題はあるにせよ、けっこう期待をし…

近代化と国学

昨日の日記(id:yagian:20060314)で、柳宗悦の「ものの見方」は、坪内逍遙が目指した近代小説の書き方と同じ構造をしており、柳宗悦の「民芸」は近代化の所産だろう、ということを、前田愛「増補文学テクスト入門」(ちくま学芸文庫 ISBN:448008953)を参考に…

直観

このところ、伝統や思考、言葉といった問題を巡ってとりとめもなく書いている。考えがまとまっていないから、なかなかまとまった文章を書けないけれど、こんな風に書いていけば、いずれは、もっとすっきりとしたものが書けると思いたい。 柳宗悦は、「正しい…

カローラ、マークⅡ

先週と今週、出張先の移動のためにレンタカーを借りた。 先週は、カローラを運転した。道路の上を移動する手段としては、まったく不足がないという感じだった。機能、実用性だけを考えれば、これでいい、と思わせる説得力があった。 今週は、カローラクラス…

民芸とエキゾチズム

しばらく前、つれあいと一緒に日本民芸館へ行った。 柳宗悦は、ものの銘や価格や評判にとらわれず、ものをじかに見ること、それ自体の美しさを直感することを主張した。柳宗悦が書いていることのすべてに同意できるわけではないけれど、日本民芸館の建物、展…

久世光彦

久世光彦が急死したという。 この人の新作の小説が読めなくなるのが残念だと感じる作家はごく少ないが、彼はそのうちの一人だった。 とにかく、残念です。