2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ホッブス「リヴァイアサン」:主権国家の成立について

「主権国家論」 今年は、民主主義について考えるために、政治哲学に関する古典的な本を系統的に読んでいこうと思っている。その第一弾として、ホッブス「リヴァイアサン」を読んだ。 書店の書棚に、岩波文庫版の「リヴァイアサン」の一巻、二巻がならんでい…

Peter Stark "Astoria”:北米太平洋岸のグローバリゼーションの歴史

北米太平洋岸のグローバリゼーションの歴史 夏休みに旅行したポートランドで買ったPeter Stark "Astoria"という本を読み終わった。この本は、19世紀前半、ジョン・ジェイコブ・アスターという事業家が、オレゴン州とワシントン州の州境を流れるコロンビア川…

「リッチな一族はそれぞれの仕方でリッチである」:Kevin Kwan "Crazy Rich Asian"

グローバリゼーションと華人華僑 このブログのなかでも、ここ数年、グローバリゼーションの歴史について追いかけている、ということ書いたことがある。 グローバリゼーションというと範囲が広すぎるので、暫定的に追いかけているテーマを絞り込んでいる。い…

前近代と近代の狭間:谷崎潤一郎「細雪」雪子と妙子

日本近代文学の成立と文明開化の成果 以前も何回か書いたことがあるけれど、三十代に入ってから約十年かけて、日本近代文学をその成立(二葉亭四迷)から第三の新人(小島信夫、庄野潤三)まで順を追って読み進めたことがある。 個々の小説の質についてはさ…