伝統

歳を取るのは楽しい:「青砥稿花紅彩画(白浪五人男)」の感想(1)

先週の日曜日、歌舞伎座で「青砥稿花紅彩画(白浪五人男)」を見た。いろいろな意味で堪能した。 会場で買った筋書き(「パンフレット」)に、過去に上演した白浪五人男の配役一覧表がついていて、私が以前に見た白浪五人男は昭和63年5月の歌舞伎座での公演…

捕鯨、漂流、近代世界システム

テレビをザッピングしていたら、NHK-BSで「最強の戦国武将は誰か」というテーマの番組をやっていた。せっかく「戦国時代」というおいしい時代を取り上げるのに、いいかげんこういう切り取り方をするのはやめればいいのに、と思ったのでチャンネルを変えた。 …

日本と保守主義

東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故以来、民主主義ということについて断続的に考えている。その一環として、エドマンド・バーク「フランス革命の省察」を読んだ。今日はその感想について書きたいと思う。 これも以前から何回か書いているけれど、私の…

日本近代文学の黄金時代と日本近代散文の成立

水村美苗は「日本語が亡びるとき」で次のように書いて、かなり批判された。 …それは、日本に日本近代文学があった奇跡を奇跡と命名する勇気を私についに与えてくれた。だが、そお奇跡はそのまま喜びに通ぜず、その奇跡を思えば思うほど、ふだんからの悪癖に…

インドから日本への仏教の旅

一昨日、日本人の持つ無常観や諦観についての記事(id:yagian:20110502:1304285422)を書いた。 それに対して次のようなツィートがあった。 @kamechiyosaburo: @yagian 諸行無常の感覚や諦念ですが、「諸行無常といい、そして神を持たず、なおかつ虚無感に走ら…

多文化主義とナショナリズム

lang -8 (http://lang-8.com/)で、オーストラリアの人と中国の人と多文化主義とナショナリズムについて話をした。 そのオーストラリアの人は次のように書いた。(http://goo.gl/lzlrw) 「外国人」と呼ばないで。 (日本から来た人が)オーストラリアにいると…

私の宗教はアニミズム

Facebookのプロフィール欄に「宗教」という項目がある。私は、アニミズムと書いている。もちろん、冗談半分だけれども、真剣なところもある。 確かに、日本の多くの家庭と同様に、親族の葬式は仏式で営み、熱心な信者という訳ではないけれど、両親は、一応浄…

世の無常

島崎藤村「夜明け前」を読み終わった。 改めて書く必要はないかもしれないけれど、「夜明け前」は幕末から明治のはじめにかけて生きた島崎藤村の父親、島崎正樹をモデルとした歴史小説だ。 話は黒船来航から始まる。木曽街道の宿場町、馬籠の本陣の息子とし…

日本の伝統と私

百代の過客―日記にみる日本人 (上) (朝日選書 (259))作者: ドナルド・キーン,金関寿夫出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1984/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (6件) を見る百代の過客―日記にみる日本人 (下) (朝日選書 (2…

御一新のときどちらの味方をしたのか

東京駅の脇にあるOAZOの丸善で、本棚をみながらぶらぶらしていたら、おもしろそうだったので、おもわず小島毅「靖国史観−幕末維新という深淵」(ちくま新書 ISBN:9784480063571)衝動買いしてしまった。内容は、もう一歩踏み込んで書いて欲しいという感…

気迫

あいかわらず伝統の問題が気になっている。 伝統への愛着と、しかし、伝統と呼ばれるようになった時にはすでに死んでいることへの悲しみ、そして、そんなアンビバレンツな気持ちを理解していない自称「伝統主義者」への怒りの三つが、私の伝統への思いの原動…

せいふぁーうたき

夏休みに旅行で沖縄本島の斎場御嶽(せいふぁーうたき)(http://www.churashima.net/shima/okinawa/isan/20010301/05.html)に行ってきた。 御嶽(うたき)とは、沖縄の伝統的な信仰の礼拝の場で、内地でいえば神社にあたる。斎場御嶽は、琉球王国でもっとも…

読みにくい本

最近、「伝統」の起源についてあれこれ考えている。「カルチュラル・スタディーズ」と呼ばれる分野で、近代における「伝統」の成立について研究されていると聞き、ながらく積読状態で放置していた上野敏哉、毛利嘉孝「実践カルチュラル・スタディーズ」(ち…