スカウティング

ここ7年ぐらい、ニューヨーク・ヤンキースの試合を見続けている。自分でいうのもなんだけれど、選手を見る目が肥えてきたように思う。少なくとも、MLBで通用しそうか、しなさそうかは、だいたい見当がつくようになってきた。
オリンピックの日本チームの試合を見ながら、ニューヨーク・ヤンキースのスカウトの気分になって、ほしい選手を品定めしていた。今、ヤンキースはどん底の状態だけに、そんな空想でもしていないとやっていけない。
やはり、松坂の力は飛び抜けている。今年のヤンキースの先発投手陣だったら、すぐにエースになりそうである。松坂は、オリンピックでも、西武ライオンズでも、いちばんきびしい試合を任されている。実際、それだけの実力があるのだから当然といえば当然だけれども、かなり辛そうに見える。MLBに来れば、普通にローテーションを任されるピッチャーになれるだろう。そうすれば、今以上に、潜在能力を発揮するのではないか。日本ですり減らないうちに、MLBに来てほしい。
松坂以外では、和田、岩瀬、石井の左ピッチャーがよかった。特に、岩瀬、石井は、MLBのどの球団でもすぐに左のセットアッパーになれる。まじめな話、今シーズンのポストシーズン・ゲームに向けて、今すぐ獲得したいぐらい。小林雅英は、日によって調子の波があって、よくわからなかった。調子がよい日が続くのであれば、いい右のセットアッパーになれそうだ。もっとも、今のヤンキースには、右のリリーフピッチャーは足りているから、いらないけれど。
ピッチャーの実力はまずまず見当がつくけれど、バッターの方はなかなかわからない。城島と高橋由伸、福留あたりは、そこそこやれそうに思うけれど、他の選手はどうだろうか。城島、高橋、福留にしても、バリー・ボンズのように最短距離でバットを振っているようには見えない。無駄な動きが多いような印象がある。ヤンキースに今すぐほしいと思うほどの選手は見あたらない。日本のリーグに優秀な日本人のピッチャーは多い。しかし、日本人のバッターの中でもっとも優れているのはイチロー松井秀喜で、日本のリーグには、もはや彼らに匹敵する選手はいないと思う。
いろいろと制約があるなかで、オリンピックチームの人選は、非常によかったと思う。しかし、阪神から選ばれた選手だけは疑問である。なぜ藤本と安藤だったのだろうか。普通に考えれば、今岡と井川だと思うのだけれども。
それと、ぜひ、決勝のキューバ対オーストラリア戦が見たかった。キューバの選手がどれぐらいのものか、確かめたかった。
前回のシドニー・オリンピックで、準決勝のキューバ対日本戦は、あのホセ・コントレラスが完封している。今から考えれば、プロアマ混合の日本チームが、コントレラスを打ち崩せなかったのは当然だったことがよくわかる。
日本が決勝に行けなかったショックはよくわかるけれど、普段じっくりと見ることができないキューバ・チームの、特に、ピッチャーを見たいと思うのは、私だけではあるまい。再放送してくれないものだろうか。