対決

野口みずきが帰国後の記者会見で、高橋尚子と走りたいと言ったという。
オリンピックの女子マラソンのレースは、ここに高橋尚子が出ていたらどのように走ったのだろうかと思いながら見ていた。野口みずきが優勝した後は、こうなったら、高橋尚子と直接対決をして決着をつけてほしいと思っていた。けれども、野口みずきも、せっかくオリンピックで優勝したのだから、高橋尚子と同じレースで走るのは避けるだろうと予想していた。しかし、その予想を裏切るこの発言、実に、すばらしい。
いまでも、高橋尚子をオリンピック代表に選ばなかったのはおかしかったと思っている。
マラソンの代表選考が難しくなった大きな原因は、高橋尚子が出場した東京国際女子マラソンに、他の有力選手が出場を回避したことにある。すでに代表が内定していた野口みずきを除いた他の選手たちは、はじめから高橋尚子には勝てないと考えたということだ。だから、この時点で、高橋尚子の不戦勝にしてもよいぐらいだった。仮に、東京国際女子マラソンに他の有力選手が出場していれば、高橋尚子に勝って素直に代表に選出されたかもしれないし、高橋尚子に勝てる選手がいなければ、やはりあのレースは条件が厳しかったということが、はっきりしただろう。
その高橋尚子に、オリンピックで勝った野口みずきが、自ら対決したいと言っている。彼女は、目標とする水準が高いと思う。
最高のシチュエーションと最高のコンディションで、二人の対決を見てみたい。