憲法論議

昨日、NHKで憲法に関する討論番組をやっていたが、どうもピントがずれている議論がが多くて、チャンネルを変えてしまった。
憲法9条、すなわち、日本の軍隊についてどのように規定するのか、という問題は、日本、日本人の安全を守ることを基本に据えて考えるべきだろう。
その討論番組では、自衛隊による国際貢献について議論がされていたけれど、それは、あくまでも派生的な問題だと思う。
軍隊を肯定するにせよ、否定するにせよ、日本の安全のためにはどのような方法がよいのかを考える。そして、軍隊という組織が必要ということになった後で、その軍隊を国際貢献に活用すべきか、すべきではないか、するとしたらどのように活用すべきか、ということが問題になるはずである。
しかし、その番組では、基本となる日本の安全という問題には、聴くべき議論がなかった。
それにしても、サヨク護憲派というのは、さびしい存在だと思った。憲法9条を守るという選択はあり得ると思うが、それは、日米安保条約の下、米国が日本の防衛をしてくれることが前提である。日米安保条約がない状態で、憲法9条を遵守したとして、日本の安全が守れるとは思えない。しかし、サヨク護憲派は、憲法9条を守り、かつ、日米安保条約に反対する。これは、いくらなんでも非現実的だ。
それでは、私はどう考えているのか。言ってみれば、ウヨクの護憲派ということになるのだろうか。
明治時代に入ってから太平洋戦争まで日本は戦争の連続だった。しかし、太平洋戦争の後、憲法9条日米安保条約の組み合わせで、日本は60年間もの期間、直接戦争をすることがなかった。ほんとうのウヨクの人から見れば、日本に米国の軍隊が駐留していて、軍事的には半占領状態が継続していることは腹立たしいかもしれないけれど、これだけの期間、戦争をすることがなかったという実績は、率直に、すばらしいと思う。憲法9条が、戦争を起こさない歯止めとして役立っていたのは間違いない。
日本の安全の確保、ということを考えれば、日本が自衛権を持ち、その裏付けとして一定の軍事力を持つことは当然である。そのために、自衛隊という存在があるわけだが、その役割を明示的に憲法に示していないのは不自然である。名称は日本軍でも自衛隊でもかまわないけれども、その存在を憲法に位置付けるべきだと思う。
また、自衛以外の目的での戦力の行使を禁じることが、過去、60年間の日本の安全に役立っていることは間違いない。そして、これからも重要な役割を果たすことは間違いない。これを、国際貢献という名の下に安易に修正すべきではない。
憲法9条は、第一項は修正の必要はない。ただし、第二項で、自衛隊もしくは日本軍の役割を、明確に自衛のために限定するすべきだと、考えている。