ガチンコ

<今日の日記は、妄想ですのであしからず>
二子山親方(以下、貴ノ花)の葬儀をきっかけに、花田兄弟の不仲について報道されている。私は、貴乃花親方(以下、貴乃花)は狭量だと思いつつも、彼に同情している*1
今では、大相撲もおおむね真剣勝負になっているようだけれども、以前は必ずしもそうではなかったようだ。そんななか、二子山部屋は、真剣勝負を基本にしていたと聞く。貴乃花は、その最右翼であったようだ。真偽のほどはわからないけれど、三代目若乃花横綱に昇進したときに貴乃花が絶縁した原因が、三代目若乃花八百長に手を染めたことにあるという噂を聞いたことがある。三代目若乃花が実際に八百長をしていたかどうかはわからないけれど、貴乃花、三代目若乃花の相撲観の違いをよく表したエピソードだと思う。
大関だった父親を超え、かつ、人気の面で大相撲を支えるという重圧がありながら、真剣勝負を貫くということは、想像以上に厳しいことだと思う*2。その厳しい道を真正面から歩もうとしていた貴乃花が、三代目若乃花を許せないと思う気持ちは理解できる。
貴ノ花を扱ったニュースで、北の湖貴ノ花の優勝決定戦の取組が放送されている。これも私の想像だけれども、やはりあの一番は八百長ではなかったのだろうか。決定戦で体格に劣る貴ノ花が正面から寄り切るというのはできすぎように思える(貴ノ花八百長をしなかったとの説も聞いたことはあるが)。私は、プロレス好きでもあり、いわゆる「八百長」には否定的ではない。あれだけ盛り上がり、人々の記憶に残った一番だから、八百長であろうとなかろうと、いや、八百長であってはじめて実現したあの一番の価値は高いのだと思う。ファンだけではなく、北の湖貴ノ花も、あの一番には満足していると思う。
しかし、真剣勝負主義の貴乃花はどうおもっていたのだろうか。「感動した!」の武蔵丸との優勝決定戦。結局、あの取組で膝を壊し、実質的な相撲生命は絶たれてしまった。貴乃花にとっては、文字通り相撲生命を賭けたあの一番と、貴ノ花北の湖との優勝決定戦では、その価値は明らかに違うものなのだろう(私は、真剣勝負でなかったとしても、貴ノ花北の湖の一番の価値が劣るとは思わないけれど)。そして、七勝七敗で千秋楽を迎えたときには、たいてい勝つことができた時代の貴ノ花大関在位記録は、貴乃花にとっては水増しされたものに見えたに違いない。そして、三代目若乃花が真剣勝負ではない形で横綱になったとしたら。
どこに間違いがあったのだろうか。自分が八百長をしていたにもかかわらず、息子であり弟子である貴乃花に真剣勝負をすることを教えた貴ノ花、二子山親方に否があるのかもしれない。
たしかに、貴乃花は狭量で融通が利かず、トラブルメイカーである。しかし、汚れた世界で一人だけきれいでいるためには、孤高にならざるを得ないではないか。三代目若乃花のような大人はいくらでもいるけれど、二代目貴乃花のような人間はめったにいない。これから、貴乃花の人生はつらく厳しいものになるのではないかと思う。そして、周囲の人たちと摩擦は絶えないだろう。それでも、自分の足の一本もくれてやるという勢いで、相撲人生を賭けた真剣勝負がとれる貴乃花には、そのままの貴乃花でいてもらいたいと思う。

*1:以前の日記にも貴乃花のことを書いていた。当時から貴乃花には同情的だったようだ。考えてみれば、貴乃花宮沢りえとの間を無理に引き裂かれたのだけれども、父親の貴ノ花と憲子夫人とは「できちゃった婚」である。貴乃花がぐれるのは当然ではないか。松田聖子SAYAKAとの不仲と構図が似ているところもあるようにも思う。http://www.lares.dti.ne.jp/~ttakagi/diary/diary/9809.htm#19980909

*2:真剣勝負が一般化した今の大相撲であれだけ勝つ朝青龍はほんとうに飛び抜けた存在だ。最近、ようやく正当に評価されるようになってきてよかったと思う。