トーリ監督の考え方

ヤンキースのウェブサイトで、試合結果の速報を送るメールマガジンに登録している。今朝、メールをチェックしていると、いつものように"POSTGAME ALERT FOR NY YANKEES"という件名のメールが届いていた。ヤンキースが逆転勝ちしたらしい。
8時からNHK−BSでヤンキース対ロイヤルズの試合の録画中継を見た。ピッチャーの投球リズムが悪く、いらいらするような試合だった。ヤンキースが逆転勝ちをすることを知らなかったら、途中で見るのをやめてしまっていたかもしれない。
アスレチックスとインディアンスとのワイルドカード争いが混戦になってきたと思っていたら、いつの間にかレッドソックスとのゲーム差が1.5になっていた。シーズン終盤にはおなじ地区なかでの試合が続くから、レッドソックス戦も残っている。直接対決を勝ち越せれば、地区優勝の可能性がないわけでもない。
しばらく前の日記(id:yagian:20050813#p4)で、カノーの代わりに、バーニー・ウィリアムス松井秀喜を2番にした方がよいのではないかと書いた。その後、バーニーに2番に打たせた試合があり、今は、松井が2番に定着している。予想が当たったのを、軽く自慢したい気分である。考えてみれば、もう7年もヤンキースを見続けているから、トーリ監督の考え方に身に付いてしまった、ということかも知れない。トーリ監督だったら、バーニーか松井を2番にするだろう、ということが想像できるようになった。
ヤンキースの打線はまずまず順調である。後は、選手をうまく休養させてコンディションを維持することだけだろう。今日は、トレードで獲得したロートンを使って、ティノ・マルチネスを休ませて、シェフィールドをDHにまわすことができた。これから順番でジオンビー、バーニーを休ませ、松井をDHにすることができる。アレックスかジーターが怪我でもしたら厳しいことになるが、それ以外の状況だったらだいたい対応できるだろう。
ピッチャーは、投球内容は相変わらず不安定であるが、頭数だけはそろってきた。当てにならないまでも、徐々に充実してきている。これでケビン・ブラウンが復帰すれば、プレーオフもそれなりに戦えるのではないか。
ヤンキースは、毎シーズン、戦力が充実していればそれなりに、戦力が整わなければ整わないなりに、シーズン終盤に向けてチームの調子を高めていく。トーリ監督は、ベンチのなかで、バットをいじりながらじっと表情を変えずに座っている。ずいぶん我慢しているのだろうと思う。
以前、アスレチックスのGMビリー・ビーンのことを書いたマイケル・ルイスマネー・ボール』(ランダムハウス講談社 ISBN:4270000120)の感想を書いたことがあった(id:yagian:20040719#p4)。たしかに、少ない投資で最大限の成果を得るための超合理的なスカウティングには感心したが、アスレチックスの成功は、ハドソン、マルダー、ジトという優れた先発ピッチャーを偶然にも獲得できたためではないかと思っていた。今シーズンは、三人のうちハドソン、マルダーがチームを去り、さすがにチームの再建には数年かかるのではないかと思っていた。しかし、今シーズンもプレーオフ出場可能な位置にいる。
アスレチックスのウェブサイトで選手の成績(http://oakland.athletics.mlb.com/NASApp/mlb/stats/sortable_player_stats.jsp?c_id=oak)を見ると、驚かされる。レギュラーに実績のある選手がほとんどおらず、メジャーリーグに上がって3年ぐらいの選手が主力なのである。名の知れている選手といえば、チャベス、ハテンバーグ、ジトぐらいのものだ。それで、あれだけ投資をしたヤンキースと互角の成績である。ヤンキースも、選手をとるよりは、ビリー・ビーンの獲得に全力をあげたほうがよいのではないか。もっとも、彼がレッドソックスのGMになることを断り、アスレチックスに留まったのが幸運だったのかもしれない。