腰痛の発端

先週の火曜日、体調が悪く、会社を休んでいた。前日、そのことを予想して、会社からパソコンと資料を持って帰って来ていたので、資料とパソコンを居間の座卓にならべて、あぐらをかいて作業をしていた。
身体がだるくなってきたので、休憩しようと思い、ソファに横になり、一時間ほど、うたた寝をした。目が覚めると腰が重くなっていた。これまでも、ソファで寝ていると腰が痛くなってくることがあったので、これはよくないと思い、布団で寝ることにした。
布団で寝ていれば痛みも治まるだろうと思っていたが、どんどん痛くなってきた。これは、今日はじっと寝ているしかないと考え、風呂に入って腰を温めて、トイレに行き、寝床で読む本を取ってこよう思った。しかし、立ち上がろうとすると、腰に痛みが走って立ち上がれない。それどころか、腕で上体を起こそうとすると痛く、四つんばいにすらなれない。しかたがないので、這って行った。もちろん、風呂には入れないとあきらめた。
トイレに入るとき、ドアノブが遠かった。壁を伝って何とかドアノブに手をかけて、ドアを開けた。次は、便器を抱えるようによじ登り、なんとか座った。便座から腰を浮かし、さらに、腰を曲げてズボンを下げなければならないが、すこと、腰を曲げることができないから、これがつらい。このとき、たまたまスウェットパンツだけで、ブリーフをはいていなかったから、脱ぐものが一枚でよかった。
トイレから出ると、身体を動かしたのか悪かったのか、ますます腰が痛くなってきた。それでも、何か読むものがないと退屈するだろうと思い、自分の部屋まで這っていき、本棚のいちばん下の段から本を三冊選んだ。それを抱えて寝室を目指して移動をしたけれど、もう、腰が痛くて這うことすらできなくなった。寝室までたどり着けそうになかったので、居間で横になって、つれあいが帰ってくるのを待つことにした。
つれあいが帰ってきて、動けなくなっている私を見て驚いていた。ぎっくり腰についてウェブサイトで検索してくれて、まずは安静にして痛みがひくのを待つしかないということがわかった。寝室に移動することもできないから、その夜は、居間で横になることにした。
安静にしていれば何とかなるだろうと思って、腰にいちばん楽な横向きで膝を抱える格好で寝ていた。この体勢であれば、それほど痛くはないけれど、少しでも腰に力がかかるように動くと、ずきんと腰が痛くなる。しばらく息を詰めて痛みがひくのを待つしかない。
腰に力を入れることができないためか、腿の一点に体重がかかって、そこが痛くなってくる。寝返りを打ちたいと思うけれど、少しでも身体を動かそうとすると痛みが走る。時間が経つと、痛みがどんどんひどくなり、寝付けず、不安になってくる。明け方には、首の向きを少し変えただけで腰に激痛が走るようになった。
なんとか病院に行きたいと思ったけれど、これではとても行けそうにない。夜が明けたら、救急車を呼ぶしかないかと考えていた。