イタイけど、スキなの

年明け、4日ごろだったか、NHK−BSでキャンディーズを回顧する番組をやっていた。解散コンサートの映像などが懐かしく、思わず最後まで見てしまった。キャンディーズにかかわったひとたちのインタビューも興味深かったが、メンバーへのインタビューがなかったのが残念だった。もう、解散から十分時間が経っていると思うけれど、まだ、キャンディーズについて語れない事情があるのだろうか。
キャンディーズにとって転機となった最初のヒット曲は、「年下の女の子」だという。それまでは、スーちゃんが中央でメインボーカルだったのが、この曲からお姉さんっぽいランちゃんをメインボーカルにしたという。
この曲は、ボーイズのよくいえばファンタジー、ありていにいえば妄想を実現した究極のアイドルソングだと思う。
汚れたままのハンカチをボタンの取れたポケットに押し込んでいても、片方だけ手袋をつけて靴ヒモがほどけていても、さびしがり屋で生意気でも、ランちゃんはボクのことを好きでいてくれる。そして、ランちゃんの方から、私のことが好きかしら、はっきり聞かせてと、言ってくれる。
さえない普通の男の子に、どういうわけかかわいい女の子が言い寄ってくるという、昔の少年サンデーのラブコメと世界が重なっている。フォークソングのような曲調も、ボーイズの世界と似合っている。ヒットしたのも納得できる。
冷静になってこの曲の詩を読んでいると、あまりにあまりな内容で、イタイ。でも、この曲を聴くと、私のなかのボーイズ性が刺激される。
キャンディーズの解散が近くなってくると、メンバー自身が作詞した曲が作られるようになる。興味深かったのは、プロの作詞家ではなく、メンバー自身が書いた歌詞のほうが、それまでの歌謡曲の常套句を連ねた月並調だったことだ。まったくの素人だからこそ常套を打ち破れるということもあるのだろうけれど、中途半端な素人が作るものがいちばんつまらないのかもしれない。