一生で三世を生きる

NHK−BSで、「民衆が語る中国・激動の時代」というドキュメンタリー番組を見た。50分×4回の番組を二日間にわたって放送していた。長時間にもかかわらず、見始めたら目が離せなくなった。文化大革命の時代を生きた、日本で言えば団塊の世代のひとびとへのインタビューで構成された番組である。
文化大革命については、ユンチアン「ワイルドスワン(上・中・下)」(講談社文庫 asin:4062637723)と李志綏「毛沢東の私生活(上・下)」(文春文庫 asin:416730970X)で知るぐらいで、とにかく過酷な大混乱した時期であったという程度の知識しかなかったから、生々しい証言に非常に驚いた。
日本では、連合赤軍のリンチ事件、浅間山荘事件は重い事件だけれども、文化大革命では、中国の全体にリンチ事件が拡大したようなものだと思う。毛沢東は、権力闘争のために人々を扇動し、権力闘争が拡大されていく。
インタビューに答える人たちはみな雄弁だったのが印象的だった。体験のすべてを語っているわけではないかもしれないけれど、ある程度自由に語ることができるようになったのだろうか。コンピューターを置いた現代的なオフィスでインタビューに答えている人もいた。中国の団塊の世代の人々は、国共内戦の時代に生まれ、大躍進時代の混乱を経て、文化大革命の頃に学生となり、改革開放の時代を生きている。想像を絶する人生だ。
現代中国のことを考えるには、こういった歴史を踏まえないと、間違ってしまいそうだ。