海外旅行はお早めに

北海道洞爺湖サミットが終わった。地球温暖化問題については、新興国に長期目標を合意させるという最大の課題は先送りだったが、現段階で必要な合意は盛り込めたといってよいのではないかと思う。
それにしても、2050年で温室効果ガス排出量を半減するという目標は、そうとう過激で、私自身はそれが実現したときの低炭素社会のあり様をうまく想像することができない。
温室効果ガスの排出抑制が難しい分野は、民生、つまり、一般家庭と、運輸ではないだろうか。企業、特に、メーカーに対しては規制をかけることで省エネルギーを達成させることができるが、一般家庭に対して有効な規制は難しい。太陽電池に飛躍的な進歩がないかぎり、再生可能エネルギーで一般家庭のエネルギー供給をまかなうことができない。そうなると、一般家庭からの温室効果ガス排出抑制は、地震放射性廃棄物処理の問題を抱えているけれども、原子力発電にゆだねるしかなさそうである。
さらに問題となるのは運輸である。一般家庭のエネルギー消費は原子力発電という代替策があったが、運輸においては化石エネルギーを使わない訳にはいかないだろう。近距離の小規模な輸送は、原子力発電から充電した電気自動車で対応し、長距離の輸送を鉄道に代替することは可能だとしても、船、航空機は代替策が見当たらない。
今、原油価格の高騰によって、海外への航空運賃に燃料費のサーチャージが行われている。近い将来、特に、ヨーロッパ便については、排出権のクレジットを購入しなければ、航空券を買うことができなくなるだろう。そのクレジットの金額も、排出抑制が厳格化されるにつれて高くなっていく。もし、海外旅行をしたければ、今の原油価格のバブルがはじけてサーチャージが下がった頃が行き時かもしれない。排出権のクレジットが必要になったら、その価格は下がりそうにはない。