焦眉の急

安倍元首相が自民党総裁となった総裁選挙の時、安倍、谷垣、麻生の三人の政権構想を比較して、麻生太郎のものがいちばん当を得ているように思うと書いた(id:yagian:20060909:1157753720)。
安倍晋三の政権構想は、総花的な上に、憲法改正という緊急性が低い課題を中心に掲げていた。谷垣禎一の政権構想は、経済成長よりも増税による財政再建を優先する路線で、橋本内閣の時に消費税を増税して日本経済が一気に悪化した反省を踏まえていないものだった。麻生太郎の政権構想は、項目自体は安倍晋三と似ていたが、経済成長を最優先に取り組むことがはっきりしており、優先順位が明確で、メリハリが効いていた。
昨日の麻生首相所信表明演説(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080929dde010010021000c.html)を聞き、そのときから基本線はぶれていないと感じた。所信表明演説のなかで、特に、「緊急な上にも緊急の課題は、日本経済の立て直しであります。これに、3段階を踏んで臨みます。当面は景気対策、中期的に財政再建、中長期的には、改革による経済成長。」というくだりは、明確でわかりやすかったと思う。
演説が終わった後、「どうだいってやったぞ」とばかりに笑顔になっていたのは、よくいえばこのひとのかざらない人柄を表している、悪くいえば稚気あふれる表情だと思った。
それはともかく、アメリカで、金融安定化法案が否決され、金融危機はしばらくは続きそうである。経済対策が焦眉の急であり、今は、景気対策を最優先に掲げる首相がふさわしいと思う。
民主党に対して挑発的な麻生首相所信表明演説であったけれど、民主党の小沢代表がどのような代表質問をするのか、このような経済の緊急事態に対応できる資質があるのか、じっくり聞いてみたいと思う。