新聞の片隅から(2)

家に帰り、夕食までのひととき、日経新聞の朝刊を眺めていたら、思わず、この記事に目が止まってしまった。

上海6警官殺害被告の死刑確定
【上海=戸田敬久】上海市高級人民法院高等裁判所)は二十日、一月に警察署を襲撃し、警官六人を殺害した楊ケイ(人ベンに圭)被告の上告を棄却、一審判決通り同被告の故意殺人罪による死刑が確定した。楊被告は昨年十月、上海市内での自転車窃盗容疑を巡り警察官から取り調べを受けた際に恨みを持ち犯行に及んだとされる。
日本経済新聞朝刊 2008年10月21日 8面

疑問点が次々と浮かんできて、事件の詳細を知りたくなる。
この楊被告という人はどんな人だったのだろうか。
一人で警察署を襲撃して、警官6人を殺害したというのであれば、どんな方法だったのだろうか。重火器でも持っていていて乱射したか、爆発物でも投げ込んだのだろうか。
記事では、楊被告が一人で死刑になったとされているが、これだけの犯行を単独犯で実行することが可能だったのだろうか。まるでランボーである。
さらに驚きなのは、警察官6人を殺すほどの犯行が、たかだが自転車窃盗容疑の取り調べを巡った恨みが動機だったという。自転車窃盗も、ちょっとした寸借だったのか、組織的に大量の自転車を窃盗するような犯行だったのだろうか。
北京オリンピック前に、中国で暴動騒ぎがいくつか報道されていた。そのなかで、いくつか、警察署を襲撃したり、警官の縦列を襲うという事件があったように記憶している。中国では、警察を襲撃するような犯行が、比較的日常的に起きているのだろうか。この楊被告の犯行もそのような文脈で理解すべきなのか、それとも、この犯人のごく個人的な犯罪なのだろうか。
中国での暴動に関する続報がなくなってしまったが、それもまた気になるところである。
おそらく、上海では話題になっている事件だから、上海特派員が記事を書き、ちょっとしたスペースの埋め草として掲載されたのだと思う。そっけない記述によって、かえって想像ばかりが膨らんでしまった。
疑問ばかりだが、おそらく続報はないから、解決がつくことはないだろう。