NHK-BSでアカデミー賞受賞作品の特集をやっている。そのなかで気になった映画をいくつか録画している。
故リバー・フェニックスが出演していた「マイ・プライベート・アイダホ」は好きな映画のひとつであるが、この映画を監督したガス・ヴァン・サントの映画を系統的に見ようと思っていた。彼の代表作のひとつ「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」を放送していたので、録画をして、さっそく見ることにした。
「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」は、数学に天才的な能力を持ちながらも、ボストンのスラムに孤児として育ち、幼少期に虐待されたトラウマから社会に適応できない青年ウィル・ハンティングが、精神科医ショーン・マグワイアとの交流を通じて癒され、成長する典型的なビルドゥングスロマンである。ウィルをマット・デイモンが、ショーンをロビン・ウィリアムスが演じている。
ひとつ間違えると陳腐な映画になってしまうストーリーだが、なかなか深みのある映画となっている。それは、ショーンの設定とロビン・ウィリアムスの演技にあると思う。
ショーンとウィルの関係は、単に治療をする医者と治療される患者という関係ではない。ショーンは、レベルの低いコミュニティ・カレッジでやる気のない学生相手に惰性で講義をしている。さらに2年前に最愛の妻を癌で失い、その喪失感から立ち直れずにいる。そんなショーンはウィルを癒すことによって、自分自身も癒され、新たな挑戦をすることを決意する。
もう若くない自分にとって、単に天才的な青年ウィルが成長していくというストーリーであったなら、あまり感情移入することはできない。それだけではなく、中年のショーンにとっても癒しと成長の物語になっている。そのショーンをロビン・ウィリアムスが抑えたすばらしい演技で表現しているのである。彼に感情移入をしてこの映画を見ることができた。
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