今日は、つれあいと麻布十番と六本木ヒルズに行ってきた。
つれあいに連れて行かれて、麻布十番のSoys Cafeでランチを食べた。
豆腐屋が経営している豆腐や豆乳を使った料理と飲物を出すカフェである。もし、自分がお店選びを任せられていたら選ばない店だけれども、そういった店に連れて行かれているのも自分の世界が広がるので悪くない。豆腐ハンバーグを食べたけれど、食感が本物のハンバーグのようで驚いた。思ったよりもおいしかった。
麻布十番の商店街を通り抜け、六本木ヒルズの東宝シネマズで「インビクタス/負けざる者たち」を見てきた。
奇をてらったところがないシンプルな、そして、心に訴えてくる希望に満ちた映画だった。
アパルトヘイト廃止後、ネルソン・マンデラ大統領は、黒人と白人が融和した国民国家の形成を目指す。南アフリカでは、ラグビーは白人のスポーツであり、南アフリカ代表チームスプリング・ボグスは白人の象徴だった。マンデラ大統領は、そのようなスプリング・ボグスをあえて支持し、応援する。そして、スプリング・ボグスは南アフリカで開催されたラグビー・ワールドカップでの戦いを通じて白人だけではなく国全体を真に代表するチームとなり、国を統合する契機となる。
白人によって長年獄中にいたにもかかわらず、マンデラ大統領が南アフリカの国のために白人を赦そうとする信念を持ち続ける。そして、信念を持つだけではなく、実現することが困難なその信念を実現するためのすばらしい知恵を持ち、賢く行動する。マンデラ大統領は、賢者と呼ぶのがふさわしいと思う。
マンデラ大統領の姿と大統領の期待に応えるスプリング・ボグスの活躍自体が、すなおに感動的なストーリーである。無駄な演出をせず、シンプルに映画を作ることで、その感動的なストーリーを活かしている。
クリント・イーストウッドの映画には、常に、社会から疎外されたマイノリティーへ寄り添う視線がある。また、硫黄島二部作では、アメリカと日本の双方の立場から戦争を描いてみせた。南アフリカには、多数派でありながらも抑圧されてきたという意味でマイノリティーである黒人と、その黒人に抑圧されるのではないかと恐れを抱くマイノリティーとなった白人がいる。「インビクタス/負けざる者たち」では、それぞれマイノリティー性を持った黒人と白人の両方の立場から公平に描いている。ここでも、クリント・イーストウッドの映画のなかのマイノリティーというテーマが貫かれている。
クリント・イーストウッドは、時として「荒野のストレンジャー」「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」のように、人間の暗黒面と逃れようのない宿命をえぐり出すような映画を作ることがある。しかし、「インビクタス/負けざる者たち」では、困難な現実のなかにありながらも人間の希望に目を向けている。この映画を見ると、クリント・イーストウッドは、人間の暗さや宿命を直視することともに、信念を持って人間性を信頼し、希望を抱くことの重要さも伝えていると思う。そして、暗さや宿命と信念や希望の両方を含んだ世界観を持っていることが、クリント・イーストウッドの映画の深みに繋がっていると思う。
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