あなたのような人にしか東京は救えないのです。

ニューヨークタイムで、村上春樹の短編「かえるくん、東京を救う」と今回の地震に関する批評を読んだ。(” Super-Frog” By JOEL LOVELL March 22, 2011 http://goo.gl/ZiS6k)
「かえるくん、地球を救う」は、1995年の阪神淡路大震災をテーマにした短篇集「神々の子どもたちはみな踊る」(http://goo.gl/F3Wbm)の中の一編である。この短篇集は直接阪神淡路大震災のことについて語らないけれど、読者にこの自信について深く考えさせる。
「かえるくん、地球を救う」は一種の寓話で、かえるくんは、東京の地下で大地震を起こそうとしているみみずくんと戦っている。かえるくんは、ごく普通の「サラリーマン」である片桐さんに、みみずに対して一緒に戦ってほしいと頼む。
ニューヨークタイムスの批評のなかで、印象的な部分を引用したいと思う。

この短編のなかで、かえるくんは片桐に次のように言う。「東京広しといえども、ともに闘う相手として、あなたくらい信用できる人はいません」片桐は、自分が平凡以下の人間だと言う。「ひどい人生です…何のために生きているのか、その理由もよくわからない。」これに対してがえるくんはこのように答える。「あなたのような人にしか東京は救えないのです。そしてあなたのような人のためにぼくは東京を救おうとしているのです」

うつ病を患ったとき(今でも完治はしていないけれど)、つくづく自分は平凡以下の人間でこの世の中で役立つことなんかないと感じた。だから、かえるくんの「あなたのような人にしか東京は救えないのです。」という言葉には心を動かされるし、癒される。
今、東京を、日本を救うためにたいしたことはできないけれど、私のできることで何かすべきことは必ずあるはずだ。私のモットーを自分に言い聞かせている。「ただ、やれることをやろう」

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

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