どこまで説明するか

原子力発電について」(id:yagian:20110606:1307308292)というエントリーを書いた。
いきなり原子力発電を安楽死させろという結論だけ書いても賛否両論になると思うけれど、エントリーの文章の筋道を追って考えれば、普通の人は同意してくれるんじゃないかと思う。そのために、なるべく論理を整理し、わかりやすい表現に努め、希望的観測にならないように現実的な課題も書いた。
しかし、ウェブログのエントリーとしては長くなってしまった。PCで読んでくれている人にも少々つらいかもしれないし、携帯で読む人にとっては読み通すことが難しいかもしれない。しかし、自分の考えを理解してもらうためには、あれでも必要最小限の長さだと思っている。
媒体は紙であるとしてもとインターネットであるとしても、新聞というメディアは必要だろうと思う。
例えば、菅直人首相がG8で「20年代の早い時期に再生可能エネルギーの割合を20%を超える水準とする」と表明したという。しかし、これだけでは、菅首相の方針が十分理解できない。どの種類の再生可能エネルギーを増やすのか、実現可能性が見込めるのかチャレンジングな目標なのか、原子力発電所はどうするのか、再生可能エネルギーのコストの問題はどう解決するのか、どのような発電事業者を想定しているのかなど、さまざまな疑問が生じる。
テレビのニュースだと結論のみを抽出したいわゆる「ワンフレーズポリティックス」になってしまう。インターネット上のニュースの速報でも同じことがおきている。
The New York Timesをインターネットで読んでいると、数ページに及ぶ長い記事がある。読むのに少々骨が折れるけれど、やはり過不足ない説明にはそれだけの分量が必要だと思う。日本の新聞のサイトを読んでいると、あまり長い記事を目にしない。それではテレビとは差別化できないし、新聞本来の役割も果たせていないと思う。が、やはり、The New York Timesのような長い記事を読む人は少ないのだろう。あれは、世界中に読者がいるから成り立っているのであって、日本語の読者だけを対象としてあの量、質の記事を提供するのは難しいのかも知れない。