dataでみるTiki-Taka styleの終焉と日本soccer

今回のFIFA World CupのGroup Leagueはおもしろい試合が多いように思う。
24試合(Italy対Costa Rica戦まで)のうち、0対0の引き分けは3試合だけで、引き分け狙いの消極的な試合が少なく、積極的に得点を取りに行っているように思う。このwebsiteで全試合の結果と簡単なstatsをみることができる(https://sports.yahoo.com/soccer/world-cup/scoreboard/)。
ここまででいちばん印象に残ったのは、やはりNetherlandsがSpainを4対1で破った試合である。
The Wall Street JournalWorld Cup特集のなかでSpainのTiki-Taka Styleが紹介されている(http://graphicsweb.wsj.com/documents/wc-goals/)
Tiki-Takaでは、short passを細かくつなぎ、ballのpossessionを高めることを目指す。SpainはTiki-Takaで前回のWorld Cupを優勝した。WSJの紹介文にも書かれているが、模倣されることは多いけれど、成功例は少ない。それだけ難易度が高いstyleでもあるのだろう。
そして、今回の大会ではTiki-Takaで勝ち続けてきたSpain自身がNetherlandsに完膚なきまでに打ち破られてしまった。
この試合のstatsはなかなか興味深い(https://sports.yahoo.com/soccer/world-cup/spain-netherlands-7371/)。
possessionを見るとSpainが64%だから、いつものSpainのsoccerができたようにも見える。しかし、shots数を見ると、Spainが10本(うち枠内4本)に対し、Netherlandsは14本(うち枠内10本)だった。possessionよりも枠内へのshotsの数が試合結果に結びついているのがよくわかる。Netherlandsの枠内へのshots数、比率は驚異的である。ここまでの24試合の平均を見ると、得点が1.40、shots数が12.54本、枠内が4.35本、shots数に対する枠内shotsの比率は34.7%である。Netherlandsがいかに効率的、効果的に攻撃していたかがよくわかる。
この大会での得点とpossessionの相関係数を計算すると0.136に過ぎず、大会全体を通じてもpossessionが高いから得点できるとは限らないという傾向がある。一方、得点と枠内へのshots数の相関係数は0.625で、いかに枠内へのshots数を増やすかが重要であることがよくわかる。
Tiki-Takaの理論では、possessionを高めることで相手の攻撃のchanceを減らすことができるということだった。しかし、ballを奪って効果的に攻撃ができれば、試合を通じたpossessionはあまり意味がないということがわかる。とはいえ、Tiki-Takaが難易度が高いstyleであるのと同様に、NetherlandsもRobbenとvan Persieというきわめて優秀なstrikerがいるからこそこの高い枠内shots率を実現できるのだろう。
NetherlandsはAustralia戦では苦戦をしたが、3対2で振り切った(https://sports.yahoo.com/soccer/world-cup/australia-netherlands-7388/)。
大会前、Netherlandsはdefenceに難があると言われていたが、2点取られたのはその弱点が露呈したということだろう。しかし、攻撃のstatsはあいかわらずすばらしく、14本のshotsのうち枠内が9本で、この試合もRobbenとvan Persieが1点ずつ得点している。守備の不安があるもののこの爆発的な攻撃力がどこまで続くか目を離せない。
実は、この大会でpossessionがいちばん高かったのはGreece戦の日本で74%である(https://sports.yahoo.com/soccer/world-cup/japan-greece-7390/)。
shots数も18本対9本で圧倒しているが、意外なことに枠内shots数は4本ずつである。
Greeceはもともとpossessionが高いstyleではないうえに、反則退場があって日本がpossessionを高めることになった。shots数が多いことに示されるように、日本はchanceの回数は多かった。しかし、goal前を固めたGreeceに対してmiddle shotsが多く、しかもその精度が低かったから枠内shots率は低かった。一方、Greeceはchanceの数は少なかったけれど、counter attackでgoalに迫ることで枠内shotsを打つことができた。
この大会でのNetherlandsの得点、枠内shotsの多くはcounter attackである。相手が攻撃的であれば、それを切り返すことで高い枠内shots率を実現できる。今日のようなGreeceに対しては、Robbenとvan PersieがいるNetherlandsでも大量得点するのは難しかっただろう。
ColombiaはGreeceから3点取っている(https://sports.yahoo.com/soccer/world-cup/colombia-greece-7373/)。
このとき、Colombiaのpossessionは48%、shotsは13本で枠内が6本である。Greeceが日本戦のように引いていないし、一方、Colombiaもpossessionにこだわっていないこともわかる。また、高い枠内shots率は、Greeceが守備一辺倒でなかったことと、Colombiaの攻撃陣の優秀さを示していると思う。
statsを見る限り、日本がまともにColombiaに勝つことは難しいと思う。しかし、ColombiaはGroup League突破を決めているから控えの選手を使ってくるだろう。そこに一縷の望みがあるかもしれない。