ホーム・チーム・アドバンテージのメカニズム

今回のFreakonomics(ヤバい経済学)Podcastのテーマはサッカー

経済学者のスティーブン・レヴィットとジャーナリストのスティーブン・ダブナーは、共著の「ヤバい経済学」シリーズで、社会のさまざまな事象を経済学の観点から統計的に分析し、意外な仮説を検証している。非常に興味深いので、未読の方はいちど手にとることを強くお勧めする。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

 

 二人の著者のうちのスティーブン・ダブナーが、この本のコンセプトをそのまま継承した"Freakonomics Podcast"というPodcastを運営している。週に1回新しい番組がリリースされる。これも本に劣らず興味深いエピソードが詰まっている。

今回のテーマは、ワールドカップの開催にちなんで、サッカーだった。

freakonomics.com

ホーム・チーム・アドバンテージのメカニズム

フランチャイズがある競技で、ホーム・チームの方が勝率が高くなるホーム・チーム・アドバンテージという現象がある。サッカーを研究している経済学者によるホーム・チーム・アドバンテージのメカニズムに関する研究が紹介されていた。

野球などの他のプロスポーツと比べ、サッカーは特にホーム・チームの勝率が高くなる傾向があるらしい。

ファンとしては、圧倒的な声援によって選手の士気、パフォーマンスが高まってホーム・チーム・アドバンテージが高まると考えたいのだろうと思うが、それは否定されているようだ。

バスケットボールのフリースローの時、ファンは敵チームのフリースローを妨害し、味方チームのフリースローがしやすい環境を作ろうとする。このシチュエーションでは、純粋に一人のプレーヤーのパフォーマンスと声援の関係を取り出すことができる。フリースローの確立を見ると、ホームとアウェイでまったく差が見られないそうだ。つまり、声援は選手のパフォーマンスに影響を与えない。

また、移動の負担によってアウェイの選手が不利になるという説もある。しかし、同じスタジアムを共有するレイカーズクリッパーズの対戦でも、やはりホーム・チーム・アドバンテージが見られるらしい。つまり、物理的に同じスタジアムであっても、ホームかアウェイで勝率に影響があるということだ。

この経済学者の研究によると、ホーム・チーム・アドバンテージは、ファンの声援(圧力?)が審判の判定に影響を与えることで生じるという。現在のようにアディショナルタイムが発表されるようになる前、審判が任意の時間で試合終了の笛を吹けた時に、ホームチームが1点差で勝っている時と負けている時で、アディショナルタイムが二倍程度の差があったというデータがあるらしい。つまり、ホーム・チームが勝っているときははやく試合が終わり、ホーム・チームが負けているときはなかなか試合が終わらない。

なぜサッカーの審判は恣意的なのか

他のスポーツの比較してサッカーのホーム・チーム・アドバンテージが大きいというおことは、審判が勝敗に与える影響があり、かつ、恣意的な判定をしているということになるだろう。

今回のワールドカップでは、ビデオ判定が導入されているが、ビデオを使うかどうかの判断、ビデオを使った判定は主審がになっているから、審判の恣意性が完全に排除される訳ではない。

サッカーではプレーが止まらないからどうしても審判の主観に頼らざるを得ないところもありそうだが、最近の機器の進化を考えると、流れを阻害せずにもっと客観的な判定もできるようなテクノロジーの開発もできるように思う。

サッカーでは、審判が恣意的な判定を下すなにか原因、背景があるのだろうか。